purple
□風邪
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まゐが倒れた。
クラッキーから知らせを受け居ても立ってもいられず部屋に向かうと、そこには辛そうな表情で眠っているまゐがいた。
それから俺はずっと傍にいるけどいろんな奴が様子を見に来る。
皆心配してるんだろうけど、まゐの事や見に来た奴らの事を考えて立ち入り禁止と紙に書いてドアに貼り付けた。
まゐの容態は数時間前にユースが慌てて呼んだ医者によると、熱は高いがただの風邪で心配することはないとのこと。
―…とは言っても、熱は高いし、眠ったままでなにも口にしない。このまま目が覚めないんじゃないかと俺は気が気じゃなかった。
それなのにこんな時、俺にできることは少なくタオルを変えたり部屋の室温、湿度に気を配るくらい。
そろそろ薬を飲んでほしいけど、目を覚ます気配がなく時折苦しそうに声を漏らすだけだった。
「…無理、してたのか?」
返事なんか返ってくるわけないのに俺は問いかけた。
よくよく考えるとまゐはいつも優しく目を配り、気を配り、誰かの傍で誰かの為に何かしていて休んでるところを見たことがない。
俺と一緒に居るときは何かと無理をさせてしまってる気がする…。
―…あれ?俺のせい…?
……とにかく、そんな事をずっとしてたら疲れだって溜まるだろうし風邪だってひく。
「気付かなくてごめん。無理させてたな?元気になったら二人でゆっくり外でも歩こう」
まゐの頭を撫でると微かに体が動いた。
「…んっ、ダン…」
「まゐっ!?」
ってか、俺!?
一瞬驚いたけど、俺は無意識にコップへ手を伸ばしていて自分の口に含むとそれをまゐの口に流し込んだ。
「っん、はぁ…」
口端から少しこぼしながらも飲んだのを確認すると、次はコップの中身と一緒に薬を自分の口に入れ、再びまゐの口に流し込んだ。
「…っ、頑張って飲めよ」
「んっ、」
なんとか飲んだみたいだがまゐは咳き込んでしまい、慌てて体を起こし背中を優しく擦った。
すると落ち着いてきたらしく俺はコップを差し出した。
「飲めるか?」
「…ん」
弱々しく返事を返し、受け取ったコップに口を付け時間をかけながらも飲み干すと、まゐを再び横に寝かせた。
「大丈夫か?」
「…うん、へーき」
辛そうに言葉を返してくれたけど、病人でしかもこんな状態の奴にあまり話かけるのは気がひける。
どうしよう、黙ってたほうがいいか?
「…ねぇ、」
「どうした?何か欲しいものでもあるのか?」
「ううん、そうじゃないの。…ダンはいつから居たのかなって」
「いつからってずっと居たけど」
「そっか…ありがとね」
「あぁ」
「…でも、ダン移っちゃうよ?」
「移らないから大丈夫だ」
「そんな事わかんないじゃない」
「貰いに行くから大丈夫」
「貰う…?」
「そ、貰う」
そして俺はまゐにキスをした。
始めは軽い感じだったけど、だんだん深いものに変わった…というより変えた。弱々しい姿も可愛くて本音を言うとまだしていたかったけど、まゐの事を考えて名残惜しいけど口を離した。
「っはぁ、…ダン」
「これで明日元気になれるから、ゆっくり休め」
「バカ…。でも、ありがとね」
そう言うとまゐは再び眠りについた。
そして翌日、まゐはすっかり元気になったが今度は俺が風邪をひいた。
まさか本当に貰っていたとはな…
ダンは部屋で一人呟いた。
「…つらいな」
END
久しぶりの作品。笑
ダンの最後の心情は、弱った姿を初めて見れたうえにちゅーができた事によって俺得的な感じだったのにまさか本当に風邪を貰ってしまった。的な???意味わかんないや。
でもほら!ダンって風邪ひかなそうじゃない!?
だからだよ!?
更新について。
言い訳ですが、尋常じゃない眠気、子供が全く目が離せないくらい成長した、携帯が古くて電池がもたないのです。
ですが夜中少しずつ作成してます。
まだ頭の中にいくつか妄想あるので気長に待っていただけると嬉しいです。