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□星に願いを1
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地球の為にと頑張ってきた日々も、一緒にいた仲間も、ソフィア号のエンジン音もここにはない。
私がもとの時代に戻ってきて数日がたった。
いつかまた会える、どこかで見てくれてるそう信じ続けながら人前では普通に振る舞っているけど本当は毎日が辛くてしょうがない。
あの日、あのバトルで博物に記されていた事が現実におこってからダンの事が頭から離れたことはない。
私は毎晩視界のひらけた海辺に足を運び空に向けて願いを飛ばす。
「あなたに会いたい―…」
見上げると一際強い輝きを放つ星があった。
それは不思議といつも最初に目にとまる星で気のせいかもしれないけど赤い星に見える。
「ダン…」
唇に軽く触れると思い出すのはバトルに行く前にしてくれた最初で最後のキス。
これから二人が始まるって思ってたのに…。
でもダンはもっと辛かったに違いない。最後に見せたあの涙、そしておそらく最後だとわかったうえで発したバローネへの敬意を示した言葉。
あの瞬間、認めたくないという気持ちの中にダンはどこまでも強いと思った自分がいた。
「まだ終わってない。これからなんだよ…」
短くした髪を触りながら私はまた星に願いを飛ばした。
「…だから、一緒に生きていきたいよ」
その瞬間、赤い星は流れ星となり空から消えてしまった。
END
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