小説

□死神
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「…夢、か…」


窓から射し込む朝日に眩しさを覚えて目覚めると自分のベッドで寝ていた俺はゆっくり身体を起こした。

懐かしい夢を見た。小さい頃、よく薬草を採りに行った林の奥で出会った少年の夢だ。手塚君、だったな。半年という短い期間だったけど彼と過ごした日常はとても楽しかった。


(あれからもう7年か…)


彼と別れてから既に7年の歳月が流れてしまった。俺はというと医者という立場になったが父に比べたらまだまだで父から日々技術や知識を学んでいる。
そんな父が新しい薬を発表するため昨日から村を出て遠い街へと出掛けて行った。その間は小さな村といえどもこの村の医師は俺だけとなった。ちょっとした不安はあるものの俺は自分に大丈夫だと言い聞かせる。そんな中で懐かしい夢を見た俺は昔を思い出して小さく笑った。


ーー手塚君は元気だろうか。


今は何処で何をしてるのかも分からないし、もしかしたらもう戻って来ないかも知れないと感じるも彼が元気であることを祈った。



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