小説

□探し求めて
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その日、早足で帰路につき街へと繰り出したが、そう簡単にプレゼントは見つからなかった。

やはりプレゼントを明確にしないのがいけなかったのかも知れない。せめてどんな物にするかを決めないと探しようがない。


(食べ物…スポーツ用品…日常品…)


夜も更けて課題の途中だと言うのにシャーペンをカチカチと芯を出しながら考えるのはプレゼントのことであった。そんな風に時折集中が途切れて思うように捗らなかったが、そのおかげでようやくプレゼント候補として“日常品”にしようと決めた。

日常品といってもそれでもどんな物にしようかなんて全く思い付かなかったがまた明日街に出た時にでも探してみようと俺は明日の俺に託すことにした。









「手塚、今日は生徒会だよな?俺、待ってるから一緒に帰らないか?」

「すまない、生徒会が終わったらそのまま家で資料の整理をしたいので、ゆっくり帰れない。慌ただしく帰るだろうから大石は先に帰ってくれ」


翌日も俺は前日から用意していた言い訳を使い、大石の誘いを断った。


「…そうか。大変そうだな。無理はするなよ?」


大石は困ったように笑いながら肩をポンッと叩き「それじゃあ」と手を振った。

俺は大石を騙している。

そう思うと胸が張り裂けそうな程、心が痛かった。


(だが、少しの間だけだ…)


プレゼントさえ見つかりさえすればまた大石と一緒に帰れるんだ。そのためにも早くプレゼントを見つけないと。

だが、プレゼントを探すというのは俺が想像していたよりも難しかった。





大石と下校するのを避け続け、大石の誕生日前日となった今になってもプレゼントを用意することが出来ない俺は焦っていた。そしてその焦りは不安へと形を変える。“今日中に大石の誕生日プレゼントは見つかるのか”“明日の誕生日にプレゼントが用意出来なければどうすればいいのか”

いくら考えても答えは見つからないまま、答えが見つからないのなら問題そのものをなくしてしまえばいい。プレゼントする物が用意出来れば悩まなくていいんだ。



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