小説

□惚薬 <2日目>
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――…37.8度

…どうやら悪化してしまったらしい。昨夜は寝たり起きたりの繰り返しで思うように眠ることが出来なかった。悪化したのはそのせいだろうか。
母にはゆっくり休みなさいと額に濡れタオルを乗せてくれて、父には病院に行こうかと言ってくれたが、1日で治るかも知れないので長引いた時にお願いすることにして断った。そして妹はリンゴを剥いてあげるねと優しく声をかけてくれた。

部活を休むのはもう決定している。

本当は部活に出たかった。心配してくれた手塚にもう大丈夫だよと言いたかった。
…これでまた手塚に心配を掛けさせてしまう。そんなつもりはないのに言うこと聞かない体が憎い。


「メール…しなきゃ」


竜崎先生には母さんが連絡してくれてるけど、手塚にもやっぱり伝えた方がいいと思って俺は寝ながらゆっくりメールを打った。


“ごめん。熱が出てしまったから今日は休むよ。部活を任せっきりで本当にごめん”


作成した内容を確認するとまた手塚に部活を任せてしまったと自分を責める。
副部長なのに、手塚を支えなきゃいけないのに、俺は何してるんだろう。手塚に迷惑かけてばかりじゃないか。

暫く見つめた後にメールを送信すると俺は眠気に襲われ、寝不足だった分を取り戻そうとそのまま目を閉じた。



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