沖土小説

□あんたを殺せない理由
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例えばの話。



俺が差し入れだ、とか言ってあの人に渡す食事の中に毒を入れたら。


ほんの一滴、それだけでいい。


あの人は死ぬだろう。


いとも簡単に。




まるで、俺達が呼吸するのと同じように簡単に。


あの人は死ぬだろう。


ほんの一滴、それだけでいい。



そうすれば副長の座は俺のものだ。




なのに、俺はそれをすることが出来ない。


何度だって野郎を殺そうとしてきた。


でも、いつもあと一歩で俺は手を止めてしまう。



ー何故?


そんなの聞くだけ野暮ってもんだ。



だって、俺は…





野郎を殺せない理由なんて、とっくにわかってるんだ






だけど何でかなんて絶対に言ってやらない。


それを言うのは、




野郎が俺に堕ちた時










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