沖土小説
□あんたを殺せない理由
1ページ/2ページ
例えばの話。
俺が差し入れだ、とか言ってあの人に渡す食事の中に毒を入れたら。
ほんの一滴、それだけでいい。
あの人は死ぬだろう。
いとも簡単に。
まるで、俺達が呼吸するのと同じように簡単に。
あの人は死ぬだろう。
ほんの一滴、それだけでいい。
そうすれば副長の座は俺のものだ。
なのに、俺はそれをすることが出来ない。
何度だって野郎を殺そうとしてきた。
でも、いつもあと一歩で俺は手を止めてしまう。
ー何故?
そんなの聞くだけ野暮ってもんだ。
だって、俺は…
野郎を殺せない理由なんて、とっくにわかってるんだ
だけど何でかなんて絶対に言ってやらない。
それを言うのは、
野郎が俺に堕ちた時
.