NARUTO小説

□愛と憎しみ
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『うちはサスケが里抜けした』



それを聞いたとき、驚きと共に微かな諦めの感情を俺は抱いた。





ーそうか、サスケ。



『あんたに俺の何が分かる!』



ーお前は、



『復讐なんてやめておけ』



ーお前は、「そちら」を結局選ぶのか。






サスケ。


お前は、以前『俺にとっては復讐が全て』だと言った。


イタチを、憎むと言ったお前が。


俺にはそれが可笑しくてならなかった。



ー気付いてるか?サスケ。



お前のその『憎しみ』は、『愛情』の裏返しなんだ。




一族を皆殺しにした夜、イタチはお前を「復讐者」に選んだ。


そして、お前はそれに応えた。


それは、お前のイタチに対する愛情に他ならないんだ。


イタチがお前だけを残した理由を、お前はいつかこう言ったね。


『一族殺しの罪悪感から逃れるため』、と。


それを解っていながら、お前はイタチの願いどおり復讐をすることを決めたんだろう?


うちはの生き残りとして、


ーなあ、お前は気付いているのか?サスケ。



お前の言うイタチの願いに応えた『復讐』は、イタチの罪悪感をぬぐうためのものなんだ。



そして、お前が『復讐が全て』と言ったのは。




つまりは、そういうことなのさ。



お前の復讐は誰のための復讐でもない。



イタチの為の復讐なんだよ。



お前は自分で自分の想いに気づいていないかもしれないけど。



仲間を、幸せな里での暮らしを捨ててまでお前が復讐をとったと言う事は、



お前が何より、誰より深くイタチを愛しているということの表れなんだ。





解っていたさ、初めから。


お前が「そちら」を選ぶってことぐらい。


でも、


あの波の国の任務でほんの少し希望を抱いたんだ。


復讐が全て、と言ったお前がナルトを庇ったことに。



俺達が、



俺が、



お前の「一番」になれるんじゃないかって。



だけど、俺は結局イタチには勝てなかったらしい。


ー解っていたことなのに、










憎しみ







だけど、今は




せめて独りで泣かせてくれ。









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