裏
□先輩
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「名無しさんちゃん!」
勢い良く後ろから抱きつかれ、名無しさんは後ろを振り返った
「…沖田先輩!」
そこには満面の笑みを浮かべる沖田先輩の姿
「はっ、離れてくださいっ!」
「どうして?
僕はこうやってしてると落ち着くけど」
「もう…」
「怒らない怒らない♪
ほら、コレあげるからさ」
そう言うと沖田は何かを袋から取り出し、名無しさんの口の中に入れる
「あ…こんぺいとう」
「おいしいでしょ?」
「ん…はい」
金平糖の甘さを口の中で感じながら、ついそんな沖田を許してしまう
相変わらず沖田は抱きついたまま離れようとはしない
ふと、戸口の方から声がかけられた
「おい…貴様
我が妻に気安く触れるな
貴様が触れて良い女ではない」
その声の主は風間先輩
他の生徒とは違う白い学ランを身に纏った生徒会長
いつもに増して不機嫌そうに眉間に皺を寄せている
「…離れろ」
「名無しさんちゃんは僕のものなんだから、離れる理由なんてないんじゃないかな?」
二人が頭上で睨み合う
その時、廊下に土方先生の怒声が響いた
どうやら沖田先輩を探しているようだ
「あーあ、このままじゃ見つかっちゃうな…
じゃ、今日はこの辺で
またね、名無しさんちゃん」
そう言って沖田先輩は私と風間先輩を残し、教室から出て行った