裏
□素顔
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私は、現在暁の一員である赤砂のサソリの元で部下として働いている
…正直言うとサソリ様は恐い
鋭く睨むような目やとても低い声、背中もゴツゴツしていてるし
暁のメンバーである証の服の下からは蠍の尾を思わせる傀儡の一部が出ている
左手はもはや人間の腕ではない
只でさえ雰囲気からして危険な香りを醸し出しているというのにその改造された腕が更に恐ろしさを増加させる
サソリ様は天才を唱われた造型師…傀儡使いで自身をも傀儡にしてしまったと聞いたけど…
あそこまでする必要はあったのだろうか
今日はサソリ様から命じられた使いで毒の調合に必要なものを揃えに行った
アジトに戻るとサソリ様が居て、私はいつものように頼まれたものをひとつひとつ確かめながら順に見せていく
そして全てのものを見せ終わった時、彼が口を開いた
「知ってんだろ…名無しさん
オレは待たされんのが嫌いだってよ」
背筋を凍らせるようなその声に私はビクリと体を震わせながらも頭を下げ返事をする
「は、はい…申し訳ありません…サソリ様…」
サソリ様は待たすのも待たされるのも嫌いだ
それはわかっていた
だから私は急いで帰ってきたつもりでいたが、どうやら彼にとっては待たされたと感じたらしい
すると突然サソリの羽織っていた暁の服が静かに音を立てて床に落ちる
背中を見ると顔のような形が彫られている頑丈そうな甲羅がついていた
するとその甲羅が少し開いて人間のものと思われる手が私の腕を掴んだ
「えっ…?」
私はそのままサソリ様の中に引きずり込まれてしまった
甲羅はそのまま閉じてしまい私の視界は真っ暗になる