オリジナル

□霞祭
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昨日行われた警視庁主催の『霞祭』は大盛況に終わった。
でもだからって翌日が非番になるわけもなく(むしろ上の方たちが祭りに参加=非番と思ってるから休めない)、今日も今日とて仕事だ。
ただし延々とカミを作る仕事。
そんな日に三浦さんは体を壊して休みだ。
昨日はりきりすぎたのが原因らしい。

取りかかっていた書類が完成し一息ついたところで、そういえば昼飯まだだったなと時計を見れば3時ちょっと前。
丁度きりいいしメシ行くか、と一つ伸びをして立ち上がると、伊丹先輩に呼び止められる。

「おい芹沢、メシまだだろ?」

「え、はい。今から上行こうと思って」

『上』とは食堂のことだ。
すると先輩は「弁当はどうしたんだよ」と皮肉混じりの嬉しそうな顔で言う。
つい2、3日前まで彼女の手作り弁当を自分の机で食べてたから妬いてたのは知ってるけど、真正面から言われると傷つく。

「よし、行くぞ」

「えぇ?」

まだ食事してなかったのか。
タイミングよく話しかけられたことから、多分待ってたんだろうなと予想する。
わざわざオレと食事だなんて、何かあるのだろうか。

「上行くっつったろ? 俺とは行きたくないってか」

「違いますよっ!」

オレは先を行く先輩を慌てて追いかけた。


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