オリジナル

□独白
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※捏造だらけ



思えば昔っから、オレは兄貴に敵わなかった。
勉強面でも、運動面でも、友人関係でもだ。
小学生の頃は特に気にかけたことはなかった。
気にかけるようになったのは中学生になってからだ。
中学からは定期テストというものがあり、小学校のテストとは全くレベルが違うと担任に聞かされたオレは実際どんなものなのかが不安で、兄貴に聞きに行った。

「確かに今までよりは難しいだろうな。けど、先生の話をよく聞いて、授業の内容とか宿題を理解してれば大丈夫だ。分からないとこがあったら教えてやるから」

そういわれたオレは、言われたとおりに頑張った。
なのに返ってきた結果を見て、親父もお袋も「もっとがんばりなさい」と言った。
兄貴だけは「充分だと思うぜ」と言っていたが、兄貴の成績をお袋に聞かされた後だったからムカついた、悔しかった。
だから次こそはと思って勉強した。
でもだめだった。兄貴には近づけなかったし、両親ももっと頑張れるはずだと言った。


運動面では、到底敵いっこなかった。
身長が高くがたいのいい兄貴は、バレーにバスケに引っ張りだこだと苦笑していた。
対してオレは、身長は170に満たず毎日牛乳をのんでもそれ以上伸びる気配はなかったし、痩せ型だった。
体育の時間にまあまあ動ける奴程度では兄貴に勝てるわけがなかった。


唯一勝ってると思えたのは外見だったが、そのせいで交友関係はめちゃくちゃだった。
告白してきた女子と付き合えば男子からの妬みを買い、逆に振れば『最低だ』と噂された。
付き合っていた女子に少ししか会話したことのない女子を指して『二股をかけた』といわれたこともあった。
そんな噂が飛び交う中、『そこがまたいい』とバレンタインのチョコレートだけは有り余るほど渡されて。
正直うんざりしながら家に帰ると、兄貴がほんの少しだけうらやましそうな顔をしたのを今でも覚えている。
どこがうらやましいんだよ。
気持ちだけ押し付けてオレの事なんてちっとも考えてない。
オレは兄貴みたいに、冗談を言い合ったり一緒に遊べるような友人がいるのがうらやましくて仕方がなかった。



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