テニプリ2

□最強ヤンキーは心に闇を持つ
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ザァー



桜が満開に咲いた今日


一人の女の子は


音楽を聞きながら


桜を見上げていた



ーー
「雫
ねぇ見て!」


いつも後ろをくっつき回っていた零


私とわ全くの正反対の双子の妹


テニスと喧嘩が生きがいで


親に見捨てられていた私


それでもいつも隣で支えて笑って居てくれた


それだけで良かった


楽しくて・・・


うれしくて…


幸せだったのに…


キキキキキーーー



タイヤの焼ける匂い

目の前に見える

大きなトラック


私は・・・


その場を動けなかった


死ぬと思った


なのに・・・


「お姉ちゃん
ドン


死ぬはずの私は


気付いたら歩道に突き飛ばされて


振り向いた時には


ドン


私じゃ無い


双子の妹がトラックに跳ねられていた




零〜〜


アスファルトは直ぐに真っ赤に染まった



私は放心状態のまま・・・


冷たくなっていく零の体を抱き上げた


『ど、して?
何で・・・助けた?』


涙で前が霞んで
零の顔が見えない



『私は・・・死んで良い身
なのに、ど、して』


「おね、ちゃん・・・だから」


微かに呟いた零


ゆっくりと手を伸ばせば零はその手を握った


「大、好きだから・・・
いき、て
お姉ちゃん」


苦しいはずなのに


辛いはずなのに


アイツは・・・微笑んで


首にしていた天使のブレスレットを手に握らせた


「あり、が・・・と」



逝く寸前まで零は微笑み

ゆっくりと手が抜けていった


『零?
零〜



遠くでサイレンが鳴っている


だけど涙は止まらなく

とめど無く流れ落ちた




零の死に責任を感じ

テニスを辞め
家を出た

斎藤の名を隠し
九条と名乗る用に・・・

ーー

『零・・・』



ボソリと呟いた雫の呟きは


強い風によってかききえた
 

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