Amaretto
□大人の男
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「は〜、それにしても…土方さん?
かっこよかった〜ぁ!」
寺田屋に帰って来てから、縁側に座ってさっきのことを思い出す。
なんなんだろう?
こっちの時代の人って、なんか皆…かっこ良くない?
「______。」
土方さんもめちゃくちゃかっこ良かったけど、あの総司って呼ばれてた人もすっごい美少年だったし…。
………。
そうやって考えると桂さんや武市さんも凄い綺麗なんだよね。
立ち姿とか、胸がすくっていうか凛としててショーのモデルとかできそうだし。
高杉さんや以蔵だって、渋谷とか原宿にいたら凄い目を引くしモテると思う…。バンドとか組んだら人気出るんじゃないかな?
「…………。」
「?姉さん?…姉さん、どうしたんスか?」
ん?慎ちゃん?
慎ちゃん…。
「ど、どうしたんスか?姉さん…?」
じっ…。
慎ちゃんも、可愛い顔してるんだよね…。
「おお、中岡、名無しさん、客人が見えたぜよ。」
そのとき、龍馬さんが玄関からやって来て私たちに告げた。
龍馬さん…。
龍馬さんも凄い綺麗な目をしてて顔立ちも男らしくって、戦隊もののヒーローみたいだし…。
「小娘、久しぶりだな。」
お、大久保さんっ…!
大久保さんも、めちゃハンサムじゃない??
「…なんだ。小娘?人の顔をまじまじと見て、呆けるな。」
はっ!
「/////っ!な、なんでもないですっ!」
「気味の悪いやつめ。時に小娘、おまえ先ほど十三屋の前で男ふたりと話していたであろう。」
「はっ?はい。ああ…前に私をどこかで見たと言われて。“ちんみょう”って、言われました。」
「くっく、珍妙か。それは言い得て妙を通り越して、的を得ているな!」
…なんか、大久保さん、大喜びしてる感じ?
「ふふふ。そのふたり、おまえは知らぬようだから教えてやる。あれは新撰組の土方と沖田だ。」
「なぬ!?新撰組の土方くんと沖田くんが、名無しさんに話しかけたと?」
「うわわ。それはまずいっスよ!姉さん。」
「まぁ、私が見かけた感じだと話しかけたというより、目についたという雰囲気だったがな。」
「ま、姉さんは目立ちますからね…。」
「そんなわけで、坂本くん!小娘がこちらに馴染むまで、あまり外にひとりで出さないほうがいいだろう。…とは言っても、君たちは大手を振って通りを行き来できるわけではないし、小娘もこのような狭い宿にじっとしていては、息が詰まる…。
小娘!今日より、薩摩藩に来てもいいぞ。」
「ほええ!?え!遠慮します!」
「なんだ、遠慮することはないぞ。私のもとに来ればここよりは安心して過ごせる。小娘は何分、こちらの物事というものを知らぬから、私が手取り足取り教えてやろう。」
「いやいやいや。大久保さん!その話はまた時間のあるときにゆっくり決めればいいき。今日はとにかく話し合いをすませねば…。」
「そ、そうっスね…!姉さんお茶を持て来てもらえますか?」
「あっ!はい、そうします!」
「小娘。」
「お、大久保さんのお茶は極渋でしたよねっ!入れてきます!」
そう言って、足早に台所にかけて行った。
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