spin off
□キスを練習中
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私は自室で皆の会合が終わるのを待っていた。
「ふふ。このあと皆とお話しできるから楽しみだな♪」
取り立てて、今日はもうやることもないし…と庭に目をやると、横切る猫と目があった。
…かわいい…!
「チョッチョッチョ。おいでおいで。」
縁側に出て手を出して呼ぶと、人なつこいのか寄って来る。
うわ〜〜〜〜!
めちゃくちゃかわいい…。
猫は私の手をくんくんと嗅ぐと
にゃあ〜と声を上げる。
「何処から来たの?」
と話しかけて、一歩、踏み石に足を降ろすと、びくっとして離れて行ってしまった。
「あ〜、行っちゃった…。」
ノラ猫みたいだし、まだちっちゃいから人に慣れてないのかも…。
「抱っこしたかったのに…残念!」
手持ち無沙汰になった私はふと思う。
なんかさ…。
この時代って、ぬいぐるみってないよね?
家には私の部屋にクマのぬいぐるみがあって、ハグハグしまくってたから、寂しいかも…!
人恋しいというか、そういう時ってあるんですけど…
どうしよう??
「うーん?やっぱ、あれ?」
私は押し入れから自分が使ってる枕を出して、それを縦にして抱いてみた。
中に蕎麦殻が入ってて「ムギュッ」って音がしたけど、まぁ、いいかんじ?
「ん〜ハグだからね…。」
枕をぎゅ〜って、してたらなんだか小五郎さんのことを思い出した。
今朝、…小五郎さんがしてくれたキス…。
思い出してついついはにかんでしまう。
人から見たら、今の私…
絶対怪しい…。
「…こんなかんじ?」
今朝のキスを思い出して、枕を顔に持っていって両手で抱えて首を傾げてみる。
んん…っと、少し口を開けて…
こう?
舌をちょっとだけ出すんだよね…。そうすると呼吸が苦しくないって、最近わかったし…。
「んー?」
…………。
「小娘、それはなにかのまじないか?」
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