キンモクセイの香りがあちこちに漂っていた。高校生になっても相変わらず補講組の綱吉、山本はぐったりした様子で学校を出る。
「10代目!」
「山本さん!」
「獄寺君!ハル!」
「二人とも待っててくれたのかー!」
「お前の事なんか待ってねぇよ!10代目、補講お疲れ様です!」
「はは…ありがとう」
四人で歩き出す。模試が近いということで、普段は部活へ行くはずの山本とハルも綱吉と一緒の下校だった。
「今、獄寺さんと話していたんですが、今度の土曜日みんなで勉強合宿しませんか?」
「え゛。勉強合宿…?」
「ハルたちも来年は受験生なのに、ツナさんも山本さんもいつも赤点じゃ大学にいけません!そこで、ハルと獄寺さんでお二人をみっちり鍛えてあげようと思うんです!」
「俺は10代目専用だけどな!」
「は、はは…」
ハルは、熱が入って顔の前で握りしめていた拳をハッと緩めると、綱吉と山本に向かって聞いた。
「お二人とも、進学するんですよね…?」
「お前…!それも確認してなかったのかよ!」
「俺は進学するぜ!ツナもだろ?」
「あ、うん、一応ね」
「なら決まりです!猛勉強ですよ!」
ハルが息巻いた。
「いつも通り俺んちでやるよね?母さんに言っておくよ」
「はひっ!いつもすみません」
「ツナの母ちゃんの飯うまいんだよな!」
「お邪魔します!」
「まぁ、リボーンのスパルタ勉強付きだけど…」
ツナが引きつりながら言うと、山本と獄寺の顔が青ざめた。
「リボーンちゃんがスパルタなんて…まだ赤ん坊ですよ?」
ハルがきょとんとして言った。
「あいつは恐ろしい赤ん坊だよ…。じゃあ、土曜日の夜に俺んち来て」
分かれ道に差し掛かり、綱吉が手を振る。
「10代目!お送りしますっ」
「えぇっ!いいよ!」
「じゃあ俺たちはここで!ハル、行こーぜ」
「へ?は、はいっ」
「あ、じゃあね!」
四人は二つに分かれ、それぞれの家路についた。


土曜日、綱吉たちは予定通り勉強合宿を始めていた。綱吉は獄寺の単調な説明に若干めげつつも、ハルのさりげないアドバイスで、なんとか後ろで構えているリボーンの銃の餌食から免れていた。山本は綱吉より比較的サクサクと勉強を進めている。
「はひっ!山本さん、もうそんなところまで進んだんですか?」
「ハルの教え方が分かりやすいんだよな」
山本は頬を緩ませた。



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