骸の真剣な表情に、獄寺は思わず吹き出してしまった。
「ほんっとに気持ち悪いな、お前」
「な、何でそうなるんですかっ」
「なんでこんな奴好きなんだ、俺は」
「っ…」
 こうやって時々ストレートな言葉を言われて、骸は閉口してしまう。
「…ではついでと言っては何ですが、今日は笹川京子と三浦ハルがうちに泊まりに来るんです。僕の寝る所がないので君のうちに泊めてください」
「はぁ?!何のついでだよっ」
「クロームと三人で『ガールズトーク』なるものをするらしいんです。僕は仲間はずれになったので、泊めてください」
「何で俺んちなんだよ。狭いから他あたれ」
「ひどいです!僕のこと好きなら泊めてくれたっていいでしょうに!」
 獄寺は頭をぼりぼりかきむしった。
「てめぇは寝相が悪いんだよ!」
「そんなのは寝ている僕に言ってください。起きている僕には関係ありません」
「知るか!」
「…素敵な夜が待っていますよ」
 骸がクフクフ笑った。獄寺の背筋にゾッと悪寒が走った。
「なおさら泊められるか!気持ちわりぃっ!」
 その言葉にカチンと来た骸は唇を尖らせる。
「…君は口ばっかりですね」
「あぁ?」
「君はヘタレ野郎ですっ!男なら潔く僕を家に泊めてキスの一つや二つしてみなさい!」
 ヘタレ、という言葉に獄寺がピクリと反応した。鋭い目つきで骸を睨むと、頭のヘタ(?)を乱暴に掴んだ。
「い、痛いですっ…」
 そのまま骸を壁に押し付けると、両手を壁について逃れられないように近付いた。
「おい」
「な、なんですかっ」
 獄寺はギラギラした目で骸を睨んでいた。
「…今晩逃げ出すんじゃねぇぞ」
「は…っ」
 骸が口を開こうとしたら、獄寺の口でふさぎこまれた。
急な口付けに、骸は獄寺の胸をばしばし叩いたが、獄寺は離れなかった。

 お互いのこめかみに汗が一筋流れた。唇が離れると、獄寺は再び壁にもたれてタバコを吸い始める。
 タバコの香りとアイスの甘さと共に、骸は文句や小言をすべて飲み下した。




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