隠し部屋
□知りたい 知りたくない
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知識はあれど、経験はない。
想像で後ろめたい快楽を得たことはあったけど、実際受け入れるセックスがこんなに身体に負荷が掛かるものだとは思わなかった。
それでもなんとか最後まで出来て、相葉がオレの中でイクのを感じた。
オレも相葉の手で絶頂まで連れていかれた。
「いて…」
相葉が起き上がってゴムの始末をしている横で寝返りをうってみたら、腰から下に痺れるような痛みを感じる。
「しょーちゃん?大丈夫?」
後ろから相葉が覗きこむように聞いてくる。
「なんつーか、色々…ダメージでかいな」
身体だけじゃなく、精神的にも。
男として突っ込まれるのも確かにショックだけど、それは自分の性癖を自覚した時点でわかっていたこと。
それよりも。
「オレ…、変な声出してたろ?」
触られて、感じて、女みたいに啼いた。
漏れる喘ぎを抑えられなかった。
「変じゃないよ?
しょーちゃん、スゲー可愛かった」
「そういうのやめろ…」
年下の、自分より遥かに可愛いという形容詞の似合うやつにそんなこと言われて、プライドなんて保てない。
しかもコイツ、なんか嬉しそうに笑ってるし。
ヤラシイんだよ、その顔が。
不機嫌に黙るオレをものともせずに、背中に抱きついてくる。
「もうシたくない?もうやだ?」
「………や、じゃない」
好きな人に抱き締められて、嫌だなんて思うわけない。
クスッと小さく笑って「やっぱ翔ちゃん可愛い」と耳元で囁かれる。
うなじに、肩に。
啄むように触れてくる唇の感触。
「ねえねえ。気持ちよかった?」
「知らない…。
こんなの、初めてだから」
男を好きになったのも。
男と寝たのも。
みんなお前が初めて。
ただ夢中で、自分でも触れたことのない身体の内側までどんどん暴かれていくのが恥ずかしくて、正直よく思い出せない。
「お前は、なんか…慣れてるよな」
相葉の指が、オレを追い込んでいく。
免疫って、それってつまり…?
「相葉?」
返事がないから、首だけそっと振り返ってみたら、すうすうと寝息を立てていた。
長い手足を巻きつけて、素っ裸でくっついて、なんとも幸せそうに眠っている。
寝顔を眺めて、やっぱりお前の方が断然可愛いぞ、と思った。