Story
□珍客来訪
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いつもと変わらない日常。今日も男は儀式に明け暮れる。
だがその最中だった。男の体に異変が起こる。
飛「う゛え゛ッ!!(気持ち悪ッ!)」
突然来た吐き気。今までに無い程尋常じゃない気持ち悪さだ。
飛「(ダメだ吐く)」
男は上半身を起こし、横を向いた所で何かを吐き出した。
飛「ゼェ…ゼェ……ふぅー…(とりあえずスッキリ)……!?」
?「よお!」
飛「ハァーー!?」
?「久しぶりだな!」
飛「ひ、ひっさしぶりです…びっくりしたァ…」
飛段が吐いたものは……
?「ゲッハッハ!お前変わらず可愛いなぁ!」
飛「なっ!なんてとこから登場すんですか!?いきなり!」
?「まぁなんでもいいじゃん?今日はちょっとここに居座らせてもらうよー」
ちょこん
飛「う゛っ!お゛も゛っ!!」
?「…………」
飛「なァ」
?「……」
飛「なァ、聞いてますかー?」
?「…んー…なんだよ?」
飛「聞こえてんなら返事してくださいよォ!」
?「うるさいぞ。黙って儀式に集中しろ」
飛「じゃあオレから降りてください!」
?「嫌だね」
飛「なんでェ!?」
?「お前の上、気持ちいィ…」
飛「ハァ!?」
?「いいから飛段!お前は黙って儀式を続けろ。てか今の『気持ちいィ』、お前のモノマネしたんだ。似てただろ?」
飛「似てないと思いますよー」
?「は、はっきり言うな!バカ!」
飛「チッ……しかしチッコイ体の癖に結構重いんですね…」
?「今何か言ったかー??」
飛「何でもないですよジャシン様ァー」
そう、飛段が吐いたのはこの珍客だった。この人物こそ飛段が信仰するジャシン教の教祖であるジャシン様である。
ジャシン様は飛段の腹の上にちょこんと座り、儀式中の飛段をガン見している。
飛「そんなガン見しないでくださいよ−。で、今日は何で来たんですか?」
邪「…あのさぁ、何でっておかしくないか?仮にも俺はお前の教祖様だよ?」
飛「そ、そりゃあジャシン様のことは尊敬してるし崇拝してますけど…でも突然過ぎませんかァ?」
邪「お前が祈りや儀式を欠かさず行っているか観に来たんだ」
飛「毎日やってますから!!来るなら連絡してくださいよォ!突然来られても困りますよ」
邪「アポなしで来なきゃ意味が無かろう…ほら!集中して!」
飛「いい加減降りてくれませんか?…苦しいんですけど」
邪「この部屋、居心地いいな。この血生臭さがまたたまらん」
飛「無視ですかジャシン様ァ!!」
邪「うるさいぞ飛段。何度言ったら集中するかね…」
飛「今の角都みたい。つーか大体、ジャシン様がいると集中できないんですケドォ!」
邪「いつからそんな減らず口を叩くようになったんだ…俺のこと尊敬してるし崇拝してるんじゃなかったのか飛段?」
飛「そ、そりゃそーだけど、いざ近くに来るとキンチョーしt」
邪「ゲッハッハ緊張するんだ!お前でも緊張とかするんだゲッハッハ!」
飛「なんかバカにされた気分」
邪「お前可愛いなぁ。相方にも可愛がられてんだろ?」
飛「そりゃ…な…うん…そう…です…ね」
邪「ゲッハッハ!お前やっぱ可愛い。だよなぁ、ジャシン教初の成功体だし、馬鹿だし、アホだし、俺に忠実だし、もう我が子みたいな感じ?」
飛「褒めてんですかソレ」
邪「勿論だよー!あー!今日は来て良かった!じゃあ帰るわ俺」
飛「ハア!?も、もう!?」
邪「俺は忙しいんだ。お前以外にも信者はたくさん俺を訪れる」
飛「はぁ」
ジャシン様が帰ると言って飛段はなんだかちょっとばかし残念そうだ。
邪「ホラ、口開いて!」
飛「え!?まさかまたオレん中に」
邪「そう!今日の俺の出入り口はお前!」
飛「さっきのマジ気持ち悪くて死ぬかと思いました」
邪「死なんだろ」
飛「あ、そっか」
邪「バカ」
飛「ジャシン様前からそんなに性格キツかったですかァ?」
邪「え?俺は変わらんぞ…?さあ、早く口を開くんだ飛段」
飛「……(`o´)」
飛段が口を開くと、ジャシン様の体が白く透明になり光りだした。
邪「じゃあな飛段。…頑張れよ」
飛「は、はい、ジャシン様…!う゛おあぁ」
すうっと何かを呑み込んだ感じがあったが、それは一瞬のことだった。
飛「ハァー…つっかれたー…でも久しぶりだったなァージャシン様。もっと居ても良かったのに…」
さっきまで重いものが乗っていた体が軽くなり、ちょっぴり寂しさが残る飛段だったが、また明日からの任務も頑張れそうな気がした。
よっしゃ!と立ち上がった飛段は角都の部屋に向かった。
飛「ジャシン様ァ!オレ、角都と一緒に殺戮とジャシン教の布教頑張りますからァ!」
飛段は最終目的達成の為、改めて誓いを宣言した。
ジャシン様は今のオレの原点だから…
角「オレを一緒にするな」
------fin------
管理人想像のジャシン様。明るい性格でありながら殺戮主義というギャップをつけたかったのです。『俺』って言ってますが、性別は無いです。
最後の別れのとこは感動的にしたかった。
2012.3.22
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