Story
□クヤシイ<シアワセ
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飛「あー!ガマンならねェ!」
角「…機嫌を直せ飛段」
飛「・・・・・」
振り返ってオレを睨むその眼は、激しい憎悪に満ちていた。だがそれと共に奴の表情はどこか悔しげに見えた。
飛「くっそ……!」
アジトに着き、奴は舌打ちするなり自室に籠もってしまった。オレは仕方無く奴の自室についていく。
角「飛段、オレが悪かった」
飛「悪かったじゃねーよ!避けられたんじゃねーの?お前なら」
角「とっさのことだった。」
――――――――
この日、オレ達は木ノ葉の商店街を歩いていた。結構な人混みだった。
飛「あー…人酔いしたかもしんねェ…」
角「…まったく、仕方無い奴だ。なら少し手前の細い路地を行くか」
とオレが後ろを振り返った瞬間、
女「きゃあっ!!」
角「あ」
オレの唇(一応マスクはしているが)と何かにつまづいたのか転んで倒れてきた女の唇が見事に触れてしまった。
――――――――
それからだ。飛段の機嫌が悪くなったのは。
まったく、部屋に籠もりたい思いをしたのはオレの方だというのに。
角「飛段、」
飛「あー、今日のオレ、ツイてねーなホント」
角「・・・」
飛「人酔いするわ、好きな人にキスしてくる奴がいるわで」
角「飛段…」
飛「おい角都、今日のオレの一日をどーしてくれんだよ」
角「いい加減にしろ。マスクはしていた。直キスではない」
飛「なら角都、オレとキスしろよ。マスク外してな」
角「…こんな夕方に…」
でも仕方無いと思った。飛段の気分が少しでも晴れるなら。
今日一日嫌な思いをした分、お前の相方であるオレがいい気分にさせてやろうと思った。
キスを交わすと、飛段はさっきオレを睨んだ時とは別人とも言えるほどの笑顔を見せた。
飛「…あークヤシイ。いやシアワセ…」
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飛段の最後のセリフお気に入りです。
2012.3.8
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