短編・連載番外編
□隣じゃなくても
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「お疲れ様です。」
私は彼の机の上に、ミルクティーを置いた。
彼はホッとしたように微笑んだ。
この笑顔。
私がこの人を笑顔にしてるんだ。
そう思うと、私の顔も自然と綻んだ。
私はこのちょっとした喜びの為にこの人の下にいるんだ。
私も微かに笑った。
私は自分のボスであるボンゴレ10代目、沢田綱吉様を慕っている。
最初は、この人に恋をしてはいけないと思っていた。
必死に自分の心に蓋をした。
でも苦しくなるばかりで、仕事も失敗ばかりで、毎日泣いていた。
そんなある日、気付いた。
好きになってしまったのだから、今更その気持ちを変えるのは無理だ。
それならその気持ちを自分には隠さずに、沢田様に隠せばいいんだと。
以来、好きだと心の中でだけ呟いている。
「沢田様、今日の仕事はこれで終わりです。たまにはお休みください。」
毎日仕事ばかりで疲れているんだ。
今日くらい、ゆっくり休んでもらってもいいだろう。
私は頭を下げて、執務室を後にした。
さて、私は残った雑務でも片付けようか。