翼の無い鳥
□第三話 イタリアから来たあいつと死ぬ気弾
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「ツナ、パス行ったぞ!!」
「ぶっ!!あいたー!!」
その日、ツナは体育でバスケットボールをしていた。そして、見事なまでのダメっぷりでその日何度目かの顔面キャッチを披露した。
「またかよー…。頼むぜツナ。」
試合終了の笛が鳴った。
その瞬間、体育館に怒鳴り声が響いた。
「お前のせいで負けたんだからなー!!」
「ごっ…ゴメン。」
「とゆーことでお掃除頼める?俺達貴重な放課後は遊びたいから。」
「え゛っ!?」
「んじゃ頼んだぜーっ!」
「ファイトだダメツナ!!」
ツナと同じチームだった男子はツナに体育館の掃除を押しつけて帰っていった。
「ちょっ!待ってよっ!!」
チームの男子達がツナを嘲る声と大きな笑いが響く。
「へいへい、どうせ俺はバカで運動音痴ですよ。」
ツナはひがみっぽく呟き、体育館の床にモップをかけ始めた。
そして、ちらっと体育館の外を覗く。
ツナの目線の先には並盛中のアイドル、笹川京子の姿があった。
「相変わらず京子の顔追いかけてるねー…。」
そんなツナの後ろから不意に声が聞こえた。
「うわぁ!!」
ツナが驚いて尻もちをつく。
「そんなお化けが出たみたいに驚かなくても…。」
「なんだ、舞かぁ…。」
ツナはほっと胸を撫でおろした。
「そんなに京子が好きなら告白すればいいのに。」
「無理だよ…。ほら、剣道部の主将とできてるって噂。あれ、本当みたいだし。」
ツナが指差した方には仲良く話す京子と剣道部の主将、持田が話している姿があった。
「あたし、あの持田って人嫌い。」
「舞の好き嫌いは聞いてないし!…あーあ、なんかもう学校いる意味ねーなー、帰ろ。」
「あれ、ツナ補習じゃ…?」
「行かないよ。」
ツナはモップを片づけ、体育館を後にした。
残された舞は1人呟いた。
「…できてる…って…何?」