風光明媚
□拉致
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竹寿司に無事帰りついたあたしは親父さんに顔を見るなり「今日はもう帰っていい」という言葉と湿布をもらい、顔に貼って帰路についていた。
「あ、ユズキだもんね!」
「あ、ランボ君!」
そこで、たまたま綱吉君ちの居候、ランボ君に遭遇した。
「あんねぇ〜今おじちゃんに遊んでもらってたの。すごいよ、トンネル掘るのすっごくうまいの。」
ランボ君は目を輝かせながらあたしに話しかけてきた。
「あのおじさんだよ!」
ランボ君が指さしたのは優しそうなおじさんだった。
「ユズキも遊べー!」
仕事も無いし、前に約束したしまぁ良いだろう。そう思ってあたしは
「うん、遊ぼっか!」
ランボ君と遊ぶことを決めた。
「おっさん、もっかいトンネル作ろー!ユズキも作るって!」
「おぉ、えぇぞ!やろう!」
そう言って、見知らぬおじさんとランボ君とあたしでトンネルを掘り始めた。
土を山のようにするのには、水が必要になる。
あたしはおじさんに頼まれてランボ君が持ってきたバケツに水を汲みにいった。
一瞬だった。
「くぴゃぁ!!!!」
そんな、ランボ君の声が聞こえた。
あたしは勢いよく後ろを振り返る。
ランボ君と、おじさんがいない…。
公園の外で、車の発進音がきこえる。
バッと公園の外に飛び出した。
ランボ君が…!
瞬時にあの車にランボ君が連れ込まれ、あのおじさんに誘拐されたのだと脳が判断する。
「ランボ君!!!!!!」
あたしの叫びは、むなしく響いた。
体から力が抜ける。
膝ががくがくして、その場にへたり込んだ。
誰かに伝えなきゃ…
でも、誰に?
この世界に、あたしが助けを求められる人なんているの?
綱吉君も、武君も、獄寺も学校にいる。
助けを求められる知り合いがあたしにはあの3人しかいない…。
今また並盛中に行ったらまたあの雲雀とかいう理不尽男に殴られるかもしれない。
すごく不安だったけどあたしは並盛中へ続く道へ駆け出した。