風光明媚
□真逆の二人
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「獄で・・・は、隼人。あの、ほんとにごめん。ただひたすらにごめん。今度ユズキ特製のもやし炒めをご馳走するから。」
「俺が今日1日働くぶんの報酬は28円のもやし代+調味料+光熱費…どれだけ頑張っても100円以下かよ。」
「もやしを3袋か4袋使ったら多分100円超えるから!!」
「100円超えたらいいって問題でもねー。」
「そーですか・・・。ご・・・隼人、ごめん。」
「いい加減獄寺って言いかけるのやめろ。」
「・・・そだね。隼人。」
あたしはちらっと獄寺の顔を覗き込んで見る。
獄寺はちらっとあたしの顔を見て、ふいっと顔をそむけた。
あ、頭かいてる。
お、怒ってらっしゃる!!
もしくはいらついてらっしゃる!!
この気まずい雰囲気はここで終わりを迎えた。
竹寿司に到着したから。
「おはようございます。」
「・・・。」
戸を開けながら私は元気にあいさつ。
一方、獄寺は無言。
「おう!おはようさん。・・・と、そっちは武の友達か。いつも世話になってんな!」
「・・・。」
・・・愛想とかないね、獄寺。
獄寺はカウンター席の片隅に腰掛ける。
あたしは事情を説明して(大概親父さんも分かってただろうけど)仕事に取り掛かった。
わずか5分後。
ガラッ。
竹寿司の扉が開いた。
見えた金髪に、心の中でため息をつきながらぺこりと頭を下げた。
「いらっしゃいませ。」