翼の無い鳥

□第三話 イタリアから来たあいつと死ぬ気弾
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学校に着いた。

校舎に入るなり、周りの視線が突き刺さってくる。

持田に向かって叫んだこともあってか、舞にも視線が突き刺さっていた。

「…沢田ってヘンタイなんだってー。」

「えー?うっそぉ〜。」

「ホントだって!しかも、薙原さんはそのヘンタイを庇ったんだって!」

女子が廊下で囁きあっていた。

おそらく持田が周りにどんどん話していったのだろう、噂が広がるのが異常なまでにはやい。

「…ツナ、今日はこのまま帰ってもあたし怒らない。」

「うん…。」

ツナはそのまま回れ右をして帰っていった。


「さ〜てと…。あ、あのぉ〜」

舞は近くで噂を囁きあっている女子に声をかけた。

「そのお話し、どこで聞いたんですか〜?」

「あ…えっと。

2年の山中君から…。」


「そうですか、ありがとうございます。

ところで…


あなたたちはそんなバカバカしい噂信用するほど、

…馬鹿じゃありませんよね?」


舞は笑いながら問い掛けた。しかし目は笑っていない。

少女達の顔が引き攣り、その顔が舞の問い掛けに答えるようにコクリと動いた。

「さーて、山中君探しに行こうっと。」

十数分後、山中君は、もう二度と噂を広めないと心に誓ったそうだ。

同様に誓った少年少女がこの日、複数いたそうだ。
…ある者は目の縁に青い痣をつけて。


後に、舞は敵に回してはいけないという噂が出回ることになる。




(これでツナが普通に学校に来てくれたら噂はほぼ消えるはず…。)

朝からツナの不名誉な噂を止めるため奔走した舞にの肩に、手が触れた。

「よっ!朝から疲れてるのな〜。」

「あ、山本君。いやー…ちょっと色々ありまして…。」

山本がエナメルバックを持って立っていた。

「そっかー…。あ、部活の入部届け、今日までだったよな?」

「あぁ、そう言われてみればそっか。」

はっとしたように舞は呟く。
プリントを持ってきたかどうか、かばんを探って確認した。(プリントファイルに挟まっていた)

「舞はどこに入る?」

「ダンス部。楽しそうだなって思って…。」

そんな話をしながら舞と山本は共に教室に向かった。


























「…でさ、ツナ。明日は学校来なよ。迎えに行くから。」

「うん…。」

「じゃ切るよ。」

「うん、バイバイ。」

舞は受話器から耳を離した。
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