幸福論

■08
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次の日の朝、


「清志ーっ!朝だよー!」
「…うるさい」
「ほらー、おーきーてーよーう」
「…うん」
「(ボソッ)今日から仮入部」

ガバッ

「はい、おはよう」
「…おう」


清志ん家に勝手に入って朝ごはんとお弁当を作ったが、清志が起きてくる気配がなかったので、勝手に部屋に入る。

清志は相変わらずなかなか起きてくれなかったけど、そこで魔法の呪文、キョウカラ・バスケ・ヤレルーヨを唱えたら一発だった。


「ほら、顔洗って着替えて。朝ごはん出来てるよ」
「…あぁ」


とりあえず、ベッドから引っ張り出して、顔を洗いに行かせる。そこで改めて部屋を見渡すと…


「なんか、悪化してない?」


清志は何を隠そう、所謂アイドルオタク、通称ドルオタなのだが、昔はもっと控えめだったはずだ。
こんな、壁一面ポスターが貼ってはいなかった。

本棚にはバスケ雑誌と並んで芸能雑誌と、どう考えても同じタイトルが3つずつはあるCD。

本棚の脇に見つけた「CD」とだけ書かれたでかい段ボールの中身は最早聞くまい。

げ、うちわとかまである。

ぶっちゃけ、あたしはアイドルとか興味ないから、ここまで入れ込む気持ちがイマイチわからん。


「何キョロキョロしてんだよ」
「清志ー、普通のCDとかも聴きなよー」
「普通って何?」
「バスケットボールベアーとかー」
「それ、お前の趣味だろ」


しかも、結構マイナーだし。とか言いやがる。


「今度貸すから聴きなよ!」
「はいはい」

「あ、清志、寝癖やばいよ」
「どこ?」
「もっと右、あ、そこじゃなくて」


手を伸ばして直そうとするが、身長が高過ぎて届かない。


「ちょっとしゃがんで!」
「ん、」
「ここだよ、ここ」


ふわ、と清志の頭を撫で付ける。

なんで、男の癖にこんな髪の毛サラサラしてんだ。心なしかいい匂いもする…


「まだ直んねーの?」
「あ、直りました」
「おう」


よし、じゃあ


「ご飯食べて学校行こう!」

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