幸福論

■03
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まず学校に行くと、玄関前にクラス名簿が貼ってあった。


「清志何組?」
「5」
「あ、隣かー」
「え、なまえは6?」
「いや4組」


自分の名前を4組で確認しつつ、5組の名簿を見る。


「知ってる人いないね」
「あ、大坪がいる」
「誰それ?」
「中学んときバスケやってて強かった奴」


秀徳来たのかーなんて言いつつ清志は嬉しそうだ。あたしは清志とクラス違ってちょっと寂しかったのに。なんか悔しくて清志の足を蹴った。


「いって!何?」
「別に…」


改めて4組の名簿を見ると、中学んとき仲良かった子がいて安心した。クラス分けって結構死活問題だよね。うん。

とりあえず名簿をみて下駄箱を探し、真新しい指定の内履きに履き替える。なんか高校生になった実感が今さらじわじわ湧いてきて、テンションが上がった。


「何ニヤニヤしてんだよ」
「ちょっと、ね」
「気持ちわりぃな」
「ひどっ」


1年の教室までは丁寧に壁に矢印が貼ってあったので迷わなかった。それにしても流石名門秀徳。赴きあるってゆーか、ボロいってゆーか…。まぁ雰囲気ある学校は好きだけど。

そんなこと考えてる内に、4組の前まで来ていた。


「じゃー、また後で?」
「今日から部活見学あるっけ?」
「いや、今日はまだ。明日から。だから買い物手伝ってね!」
「おー、じゃ帰りな」


そう言って清志は5組へ入っていった。

教室に入ると、入学したての新品の空気に少しの緊張感。ドキドキしながら自分の席を探していると、友達に話しかけられた。


「あ、なまえー」
「おはよー。久しぶりー」
「…なんでニヤニヤしてんの?」
「え、」


あたし、これからの高校生活が楽しみで仕方ないみたいです。

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