幸福論

■02
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結局、お互いの親が「清志くんがいるなら大丈夫だろう」「なまえちゃんがいるなら大丈夫だろう」と判断したらしく、本当にあたしたちは高校生になると同時に一人暮らしが始まった。

幸い、清志とは高校も一緒なので色々相談もしやすいし便利だ。


「清志ー。入学早々遅刻しちゃうよ」
「まだ大丈夫だって」


入学式の日、一緒に学校へ行こうと隣の家に勝手に入る。勝手は知ってるし、もしもの時のため、お互いの家の合鍵は既に交換済みだ。リビングへ行くと、清志はまだのんびりとテレビを観ていた。テレビってか中学の時のバスケの試合のビデオ?相変わらずバスケバカだ。


「そーいえばなまえ。お前、部活決めた?」
「バスケ部入りたいなーって」
「え、何、マネージャー?」
「うん」


中学のときも本当はしたかったけど、うちの中学はあんまり規模も大きくなかったし、強くもなかったからマネージャーは募集してなかった。だから適当な部活に入ったけど、やっぱ清志見てるとバスケっていいなーって思うから、高校が決まったときからバスケ部に入ることは決めていた。


「へー」
「え、なんで?」
「いや、なんとなく」
「あ、そろそろ行かないと本当に遅刻だよ?」
「おー」


そう言って清志はテレビの電源を切り、立ち上がる。…改めて横に並ぶと


「なんかまた身長伸びた?」
「まじ?身体測定楽しみだわー」
「そのうち2mとか行くんじゃないの?」
「バスケやんならそんくらいあった方が有利だし」


清志は中3の終わり頃から急に身長が伸び始めて、急にモテ始めた。本人はバスケのことしか考えてないけど…高校行ってもモテるかな?そう思ったら、中学の時から見慣れてるはずの学ランが急に眩しくみえた。


「ん?」
「あ、なんでもない」


彼女が出来たら、こんな風に一緒に学校とか行けないよなって思うと、まだ見えない未来がちょっとだけ寂しかった。

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