幸福論

■01
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それは中3の終わり、既に秀徳高校への進学が決まった頃のことだった。


「え?!ガラパゴス??」
「うん。ちょっとイグアナの研究に」
「…ちょっとって、どれくらい?」
「3、4年?」
「さ…、」


生物学者の父と、アシスタント兼動物カメラマンの母。学者とカメラマンだから変わり者の方がいいのかもしれないけど、もう少し常識を知ってほしい。


「お兄ちゃんも大学の寮だし、あたし1人じゃん」
「大丈夫!ちょくちょく帰ってくるし、隣の清志くんちにも頼んでおくからさ!」
「お留守番よろしくね」





「っていうわけなんだよね。ホント信じられない。高校入ると同時に一人暮らしスタートとか…ねぇ、清志きいてる?」
「…その話、まじ?」
「うん」
「うちの親もなんだけど」
「え?」
「うちの親もオレが高校入ると同時に2人とも単身赴任なんだけど。北海道と鹿児島に」
「嘘…」
「てことはさ、」
「お互いに一人暮らしスタート?」「マジかよ…」


そうして、突然にあたしたちの一人暮らし生活が始まったのです。

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