幸福論

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「そーいえば、宮地サンとみょうじサンって付き合ってるんすか?」


放課後の練習が終わって、選手たちは自主練の準備を始め、マネージャーは片付けを始めようかというとき、高尾が思い付いたように宮地となまえに話しかけた。


「は?」
「え、いきなりどうしたの?」
「いやだって、朝も一緒に来るし、帰りも一緒に帰ってるし、宮地サンの弁当はみょうじサンが作ってるらしいし、こないだは夕飯の相談までしてませんでした?」
「あー…」


宮地がめんどくさそうに顔をしかめたので、なまえが仕方なく答える。


「付き合ってないよー。ただの幼なじみ。マンションの部屋が隣なんだよ」
「弁当とかは?」
「うちの親も清志んちの親も仕事で全然帰ってこなくて、2人とも半分1人暮らしみたいなもんだから、色々協力してやっててさー。まぁほとんどあたしがしてんだけど」
「……」
「なるほどー。…ぶっちゃけ、付き合おうとかなかったんすか?」
「幼小中高と同じ学校で昔っから一緒にいるから彼氏とか彼女より、家族?って感じなんだよね」


へー、と高尾が頷いていると、3人に大坪が近づいてきて、


「お前ら自主練するなら完全退校まで時間がないぞ」


と、言った。3人がバッと振り替えって体育館の時計を見上げると、確かに話している場合ではない。


「練習しますします!」
「木村ー、パス練手伝って」
「おー」
「あ、大坪くん、来週の練習試合のことなんだけど」


仕事をしながらなまえは、こんな生活が始まったときのことを思い出した。高尾にはさっくりと説明したが、今まで色々あったなーと。

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