檸檬空

□05.5
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□05後の3年3人




なまえが嵐のようにやってきて、嵐のように去って行った後の話。


「話には聞いてたけど、みょうじって面白いな」


と、小堀。その言葉になまえのイトコである森山は苦笑いする。


「なんか騒ぐだけ騒いで帰ってったよな。悪いな」
「いや大丈夫だけど、それより笠松大丈夫か?」


笠松がビクッと反応する。


「全然話してなかったけど、」
「え?迷惑だった?なまえによく言っておくわ」
「いや、大丈夫だけど」
「ん?」
「森山はわかる。イトコだから。なんで小堀も大丈夫なんだ?」


笠松の訴えに2人の頭上にハテナマークが。


「だから、なんで、そんな簡単に女子と話せるんだよ!」
「えーっ!!」
「そう言うことか…」


付け加えられた言葉に大きく頷いてから、森山と小堀は思ったことを口にする。


「なまえを女子扱い出来るとは……笠松、お前見直したよ」
「いやいや森山、みょうじは女の子だけど。え、笠松、マネージャーと話せないって大丈夫なのか?」
「今まで話して…たな。あーそれはもうガッチガッチの片言で。しかも業務連絡だけ」
「男子と同じノリで大丈夫だと思うよ。笠松、後輩から慕われてるじゃん」
「男子限定だけどな」
「……本気で悩んでるんだって…」


笠松の予想以上に悲痛な反応に2人は顔を見合わせた。まじかよ、と。


「あ、じゃあさ、みょうじに頼んで、これからは一緒に昼飯食べて貰うってのはどうだ?少しずつならしていけば笠松だって話せるようになるだろ」
「え、じゃあオレ、なまえにそれとなく頼んでおくよ」
「森山頼むよ」
「あはは」
「ははは」


仲間たちの憐れみの提案に、笠松は小さく頷くしかなかった。






その頃、


「ふえ、くしゅっ!くしゅん!」
「みょうじ、風邪ッスか?」
「?、いや?」


なまえはくしゃみをしていたという…。

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