檸檬空
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「流石"キセキの世代"…」
「いや関係ねぇだろ」
「ウザさも10年に1人的な…」
「おいおい」
先輩たちで盛り上がってるとこわるいんだけど、
「"キセキの世代"ってなんですか?」
え、なんで笠松先輩と小堀先輩驚いてんの?
「あー、こいつバスケに一切触れてきてないからわかんねぇんだよ」
「そーなんか」
「みょうじ、"キセキの世代"って言うのは」
小堀先輩いわく、"キセキの世代"とは、全中三連覇の超強豪校の帝光中学バスケ部の歴史の中でも特に最強と言われた、10年に1人の天才と呼ばれた選手が5人いた世代のことだと言う。
「なるほど」
「で、黄瀬はその5人のうちの1人ってわけ」
「なるほ、…っえー!!黄瀬が?天才??」
「バスケに関わってたら結構常識だから覚えてた方が良いと思うよ」
「まじですか」
「マジだって。どこの学校からも引っ張りだこだったんじゃね?」
「だろうな」
「うちの監督も頑張ってたしな」
「へー…そうだったんですか」
あいつ、スゴいやつだったんた…。
「しかもさ、モデルもしてんだろ?」
「ふざけてんなー」
「モテるわけだよ…」
「え?も、モデル?あの雑誌とかで?ポーズとってる?」
「いやそうだけど、みょうじって黄瀬のこと全然知らないんだな」
「…出会って2日ですもん」
「結構有名だぞー?」
小堀先輩の言葉がちょっとグサッと来る。そー言えばあたし、黄瀬のことなんにも知らない。黄瀬は確かにちょっとでもあたしのこと知ろうとしてたのに。
"食わず嫌い"してただけかも知れない。
「まぁなまえはこういう話疎いからなー」
「……由孝、あたし教室戻る!」
「え?」
「弁当途中だけどいいのか?」
「やること思い出したんで行きます!笠松先輩、小堀先輩、お邪魔しました!放課後からよろしくお願いします」
「おう」
「またなー」
嫌いかどうか、知ってから決めても遅くないよね?
「あ、みょうじー。どこ行ってたんスか?」
「黄瀬、」
「はい?」
「あたしに、黄瀬のこと教えて」
「もちろんッスよ」
結構突拍子もなく言っちゃったけど、黄瀬は笑顔で応えてくれた。案外いいやつかも知れない。