檸檬空

□04
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それから黄瀬は休み時間や教室移動のたびに話し掛けてきた。


「みょうじってなんでバスケ部入ったんスか?」
「みょうじはどこ中ッスか?」
「みょうじは」
「みょうじって」
「みょうじー」

「いや、」
「あの、」
「だから、」
「……」
「…はい」


昼休みもこの調子だったらお弁当も食べられないかも、と思い、一緒に食べる予定だった友達には断っておいて、昼休みに入って黄瀬が女子に囲まれた瞬間、あたしは教室を飛び出した。

向かったのは、


「由孝ーっ!」
「なまえ?!」


イトコのいる3年の教室だった。黄瀬もまさかあたしが3年の教室にいるとは思わないだろう。


「どーした?」
「どーしたもこーしたも…あ、笠松先輩こんにちは!」
「お、おう」


黄瀬のウザさに思わず由孝に飛び付いたが、由孝は2人の先輩とお弁当を食べていた。その内の1人は笠松先輩で、


「……」
「あ、小堀、こいつが話してたイトコ。なまえ、こいつはバスケ部3年の小堀」
「小堀先輩、バスケ部マネージャーになりました1年のみょうじなまえです。よろしくお願いします!」
「よろしくな、みょうじ」


と、挨拶をしたのはいいんだけど、


「で?」
「でって…。あ、お昼、ご一緒させていただいていいですか?」
「おう」
「どうぞ」


由孝と小堀先輩が空けてくれたスペースに使ってない椅子を借りて座る。


「じゃあ、改めて聞いてよー!先輩たちも聞いてください!」
「ほんとどーしたんだよ?」
「黄瀬がウザいんです!!」


そして朝のくだりから簡単に説明する。


「……で、お弁当もまともに食べられるかわかんなかったんで、由孝のところに逃げてきました」
「確かに…」
「それは…」
「かなり…」
「「「ウザいな」」」
「ですよねー?!」


先輩たちが理解ある人で本当に良かった!!

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