檸檬空

□03
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靴を履き替えて教室へ向かう。
ホントはあんまり黄瀬と行動したくなかったけど(女の子の視線が痛いし)、同じクラスだからしょーがない。


「名前教えてくださいッス」


改めて近くでみると黄瀬ってでかいな。その迫力に負けそうになるけど、こんなチャラ男に負けたくない。


「あ、あんたは名前も知らない女を落とそうだとか言うわけ?昨日クラスの自己紹介で言いましたー」
「…そっちもオレの名前ちゃんとわかるんスか?」
「黄瀬、でしょ?」
「いや下も」
「うーん…タクヤ?」
「涼太ッスよ!タクヤって誰ッスか?!」
「なんかそんな顔してるなーと。いや涼太も似合うよ」
「そんなこと初めて言われたッス」

呆れた顔をする黄瀬はしつこく名前をきいてくる。わかった!わかったから顔が近い!


「みょうじ!みょうじなまえ」
「ちょ、なんで逃げるんスか!」
「近いって!」
「えー、女の子はオレが近付くと喜ぶはずなんだけどな…」
「女子がみんな黄瀬を好きな前提で行動しないでよ!もー…心臓に悪い」
「……」
「な、なに?」
「…ってことはみょうじもオレにドキドキしてくれたってことッスよね?」
「っ!」
「これから楽しみッス!」


黄瀬は本当に楽しそうに笑って教室に入った。朝から一気に疲れたあたしはため息をつかずにはいられなかった。

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