檸檬空
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やるからにはとことんやってやろーじゃないかと意気込んでみたものの、実際野球についてはそこそこルールも詳しいものの、バスケなんて学校の授業でしか関わってない。昨日の帰りにブックオフで「馬鹿でもわかる簡単バスケットボールのルールブック」なんて買ってみたが、結局読んだのは前書きくらいだ。
いやでもマネージャーだし、覚えなきゃまずいよなぁ、なんて思いながら学校へ向かうと下駄箱のところに黄瀬がいた。
ホントはチャラチャラしてるやつとはあんまり関わりたくないんだけど、同じクラスだし、同じ部活なんだから挨拶くらいしとくか。めんどくさいけど。
「あの、」
「ねえ、あんたさぁ」
声かけただけなのになんでコイツはこんなに訝しげな目で見てくるんだよ。低血圧?
「応援とかは嬉しいんスけど、さすがに部活内まで持ち込んでほしくないんスよね」
はい???なんの話????
「しかも同じクラスっスよね?それだけで結構接点あると思うんスけど」
「何と?」
「え?」
えーっと、もしかしてこの人、あたしが自分のファンでストーカーみたいに部活まで揃えようとしてると思ってるってこと??
「勘違いなんスけど」
あ、話し方移っちゃった。…いや、問題はそこじゃなくて、
「あたしは3年の森山先輩に頼まれて(間違ってはいないよね?)マネージャーするだけですけど?あなたのせいでマネージャー不足らしいんで。だいたいあんたの近くにいる女が全員あんたを好きだと思うなよ!あたしはあんただったら笠松先輩の方が好きだ!!」
「え…すいません?」
「なぜ疑問系?ちゃんと謝ってくれる?」
「ちょ、泣かないでくださいッス!!ごめんなさい!!」
「別に泣いてない!泣きそうなだけ!!」
「…ぷ」
「なぜ笑う!!」
こっちは必死なのに!爆笑体勢か!
「いやー、面白いッスね」
「はぁ?何言ってんスか?」
あ、また移っちゃった。コイツ、スッス言い過ぎ。
「決めたッス!」
「何を」
「オレ、あんたを落として見せるッス」
「どこに?」
「いや、そーじゃなくて、オレのこと好きになってもらうッス!オレのプライドにかけて!」
「いやならねーよ」
何言い出すんだこの人は。