檸檬空
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あの後あたしは否定して直ぐにでも野球部へ向かおうとしたが、笠松先輩(キャプテンらしい)にマネージャー少なくて困ってたありがとうと言われ、由孝に入部届け出したら3ヶ月は取り消せないと脅され(?)、なんだかんだ乗せられてバスケ部のマネージャーになってしまった。
「そんなにマネージャー少ないんですか?」
「いや、希望者は多いんだけど、理由が不純で…」
笠松先輩にきくと、由孝と顔を見合わせた後、ある1人の選手を見た。
あ、黄色頭だ。確か名前は…
「きゃー!黄瀬くーん!!」
そうだ、黄瀬だ…ん?
よくみると黄瀬の近くに場違いな女子がたくさんいた。
「もしかして黄瀬目当てにマネージャー志望が殺到した、とか?」
「そーなんだよ」
「それに対してなまえの志望動機いいなー。全国制覇のサポートしたいって」
由孝は茶化すが、それ甲子園のことなんだけど。とは口に出して言える雰囲気じゃなくて。
だって笠松先輩も嬉しそうに頷くんだもん。ちょっとだけ、良心が痛む。
「あ、今日は軽く自主練して解散で、1年の顔合わせとかは来週なんだけどどうする?」
「えっと今日は何も準備してないんで帰りますけど、明日から手伝ってもいいですか?早く仕事覚えたいんで」
「わかった」
笠松先輩から業務連絡などいくつか簡単に話をきいて、今日は帰ることになった。
帰ろうとして体育館を出ようとしたときに由孝が呼び止めた。
「…何?」
「いや、悪かったなって」
「じゃあ最初からやんないでよ」
「でもさぁ、最後の年だし本気でやりたいんだよ」
わかるよ、わかるから
「あたし、頑張るよ」
「…ありがとう。あ、部活中は先輩敬語でよろしく!」
「は?」
「今も」
「はいわかりましたお先に失礼します森山先輩」
「おー明日な」
練習に混ざる由孝を見送って体育館を出た。扉を閉めるときに黄瀬と目が合った気がした。気のせい?