鬼徹

□第一話
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「見学は以上です。その他の地獄は――」

無事、地獄への就職が決まったあたし、蕃茄は、イトコの茄子と友達の唐瓜と共に、地獄新入社員説明会に来ていた。
閻魔大王様の挨拶の後、配属する部署を選ぶために鬼灯様のあとについて見学を済ませたところだ。
予想以上に閻魔様は優しそうで良かったが、鬼灯様は予想以上に…

「――配属希望申請書は明日までに提出。遅れた者は金棒で尻を百回叩きますからね」

鬼畜なご様子で。流石鬼神。鬼の中の鬼、と言ったところか。

そろそろ説明会も終わりかな、と思っていると、鬼灯様は予想だにしていなかったことを言い出した。

「あ、それと今回は新卒の皆さんの中から、1名私の直属の部下になってもらいます」

(鬼灯様直属?!)
(ある意味阿鼻地獄の方がマシなんじゃ…)

と、少し周りがざわつく。確かに最近、地獄は人材不足で忙しいらしいから、鬼灯様も相当忙しいのだろうけど、今までの鬼灯様を見て、自らやりたがる命知らずが何処にいよう。茄子も唐瓜も冷や汗を流しながら鬼灯様の様子をうかがっている。

「…まぁ、本来なら、自ら名乗り出てほしいのですが、きっと希望者はいらっしゃらないと思うので、クジを作ってみました」

((用意いいな!))

「では、1人ずつ並んで1枚ずつ引いてください」




「…茄子、唐瓜。クジに何か書いてあった?」
「俺白紙だー。唐瓜は?」
「あ、俺も白紙」

…うん。嫌な予感しかしない。

「蕃茄はどーだっ…」

あたしのクジを覗きこんで無言になった茄子に続いて唐瓜がまさか、という表情をする。

「それでは、鬼灯のイラストが書いてあった方は残って下さい。それ以外の方は解散とします」

"あたり"のクジを握り、呆然とするあたしの肩に2人が両側からポンと手を置いた。


就職先→閻魔大王第一補佐官補佐役(別名地獄の中の地獄)
(貴方、お名前は?)
(…蕃茄です)
(これからよろしくお願いします)



―――――――
始めちゃった(´Д`*)

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