書物
□君の夢。
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君の夢。
「センパイ…」
フランは自分の隣でうなされるベルを見てそう呟く。
何故かベルの頬には涙が伝う。
どんな夢を見ているのだろうか?フランはそんなことを思う。
「センパイはミーのものじゃないんですもんねー?」
寂しげに呟く。
そして、ベルの頭をそっとなでた。
「ジ…ル…?」
センパイはその人の夢を見ているのだろう。
きっと自分よりその人のことを考えている?
ソンナ考えがカラダを走った。
−センパイにとってミーは一番じゃない?−
センパイには、ミーのことだけ考えてほしい。
センパイには、ミーの夢だけ見てほしい。
センパイには、ミーにだけその涙を流してほしい。
「…でもセンパイはミーのものじゃないんですもんねー?」
悲しい。とても、とても。
『かえ・・・る?』
ベルが目を覚ました。
まだ寝ぼけているようだ。
「あれー。目、覚めちゃったんですかー?」
やへり、ベルの頬には涙の伝った痕がある。
「え?」
ベルは自分の頬を指でぬぐった。
そのとき初めて自分が泣いていたことにベルは気づいた。
ベルは慌てて言い訳を探しているようだ。
「なんで、泣いてたんですかー?」
そうフランは詰め寄った。
だが、ベルは口をつぐんだままだ。
「べつに、泣いてたわけじゃ…
フランはベルの口をキスでふさいだ。
「センパイには、ミーのことだけ考えてほしいんですー
他の人にその泣き顔、見せないでくださいねー?
センパイはミーだけのものなんですからー。」
「え、え?えと、…」
動揺を隠しきれないベルを横目に、フランは微笑を浮かべている。
「でも、なんかあったらミーがいますんでー一応。」
『は、はぁ?!なんで王子がかけるなんか頼らないといけないんだs…
再び、フランの口がベルの口を塞いだ。
「やっぱり、センパイは面白いですー。」
『面白くねーしっ!』
「・・・だからー、センパイもミーに甘えたってイイんですよー?」
フランのその一言がベルの耳に入っていたかどうかはベル本人しか分かりませんが。
〜end〜