差し向かう心は清き水鏡


裏表なきは君子の扇かな


水音に添えてききけり川千鳥


手のひらを硯にやせん春の山


白牡丹月夜月夜に染めてほし


願うことあるかも知らす火取虫


露のふる先にのほるや稲の花


おもしろき夜着の列や今朝の雪


菜の花のすたれ登る朝日かな


しれば迷いしなければ迷わぬ恋の道


しれば迷いしらねば迷ひ法の道


人の世のものとは見へに桜の花


我年も花に咲れて尚古し


年々に折られて梅のすかた哉


朧ともいはて春立つ年の内


春の草五色までは覚えけり


朝茶呑みてそちこちすれば霞けり


春の夜は難しからぬ噺かな


三日月の水の底照る春の雨


水の北山の南や春の月


横に行き足跡はなし朝の雪


山門を見こして見ゆる春の月


大切な雪は解けけり松の庭


二三輪はつ花たけはとりはやす


玉川に鮎つり来るやひかんかな


春雨や客を返して客に行


来た人にもらひあくひや春の雨


咲くふりに寒けは見へず梅の花


朝雪の盛りを知らす伝馬町


岡に居て呑むのも今日の花見哉


梅の花一輪咲いてもうめはうめ


(井伊公)ふりなからきゆる雪あり上巳こそ


年礼に出て行空やとんひたこ


春ははるきのふの雪も今日は解


公用に出て行みちや春の月


あはら屋に寝て居てさみし春の月


暖かなかき根のそはやいかとほり


今日もきょうたこのうなりや夕やせん


うくひすやはたきの音もつひやめる


武蔵野やつよふ出て来る花見酒


梅の花咲るしたけにさいてちる







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