ありがとう
□ 零話 。
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私には妹と、弟がいた。
大好きだった。いや、大好きだ。
いつも決まって私の後ろを付きま
とってくる。
それが、かわいかった、いとおしかった。
でも、私にはもう何も残っていない。
そうあの瞬間から。
「なつ姉っー!」
後ろから菜月に勢い良く抱きつく2人。
つい、うおっと前にからだが前に
行ってしまう。
「遊んでーっ!」
女の子のほうが千鶴、男の子の方が薫。
一卵性の双子。
本当にそっくりだ。
同じ一族の人でも見分けがつかな
い人も多くない。
そして、2人は大の仲良しである。
いつも、いつも一緒だった。
なのに、あいつらのせいで、私の
すべてを奪っていった。私がその
話を聞いたのはある雪の降ってい
た日、
千鶴と薫を寝かし、両親の元へ言ったとき、聞かされた。
「菜月、ちょっといい?」