黒灰異世界旅行

□第一章 始まり
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朝。

私はいつもの様に起きた。
重い体を動かしながら、今日の仕事内容を考えて。


(今日はー同盟マフィアとの食事会だったか…)

だが、私の目の前に入ったのは、見知らない天井、部屋。

今更ながらそれに気がつけば、慌てて武器と匣を探す。

ちゃんとそれは私の寝ていた頭の隣あたりに知らない服と置いてあった。

ほっ、と小さく息を吐けば武器等を手に持ちすぐに警戒する。

…ここは何処なんだろう。
……とりあえず着替えよう。

ベッドにあった足を地面につけ、立ち上がる。

そして武器を服の横あたりに置いて服を脱ぐ。

そして着替えをすぐに済ませた。

その後脱いだ服を丁寧にたたんで先程新しい服があった所に置く。

そして武器をとり、匣をポケットに隠し、4つくらいの指輪をつける。

新しい服は動きやすい感じだが、男物なのかダボダボしている。

私は考え終えた後警戒しながら部屋を出た。

…人の気配がする。

「ん?あ、起きたんだな。」
「…え。」

机につき食べ物を食べている男が私の目の前に入った。

その男には、見覚えがあった。

長い青みがかった黒髪。
両眼はウサギの眼みたいな赤。
マシュマロの様な帽子。
赤いマフラー。

「あ、あなたトワ?」

驚きのあまり、武器を落としてしまった。

「おーよ。久しぶり」

トワは、あっさりとした様な口調で片手をあげた。

私はすぐに表情を戻し、しゃがみこんで武器を取れば匣にしまった。

「…なんでここに」

「知らねぇ気がついたらここにいたからな。」

私の疑問に考えるそぶりを少し見せれば簡単な答えが返ってきた。

「…って事は、ここどこ」
「さーな。なんかあった本には<世界の屋敷>って書いてあったけどな。」

世界の屋敷?

私が首を傾げれば、トワは本を取り出した。

これなのだろう。

私はトワに近づき、本を受け取れば開き、中身に目を通した。


『世界の屋敷。
世界の狭間に或るという場所である。
そこは一見ただの家に見えるが、実は違っており…
あらゆる世界の統治者が依頼をしに来ると言う。
そこにすむ者は<黒と灰の旅人>と名付けられる。』

意味がわからない。

首をひねらせ、考えながら、ふとトワを見た。

「あ、そういやドアの向こうは開ける度変わってたな。ゆわゆる青い猫のドアとか、ジ○リの動く城みたいに」

「は?」

その言葉を聞くと私は本を閉じてドアの方に向かった。
そしてドアを開く。

ヨーロッパみたいな町だった。

私はその景色を覚えたら、一旦ドアをしめて、また開けた。

今度は昔の日本みたいだった。

私はドアをしめると、トワを見た。

「…本当だ。」

「だろ?」

私はとりあえず椅子に座る。 

そしてトワを見た。

「もしかしてここが狭間?」

「みたいだな。」

あっさりと告げたトワにそっか、と言えばドアが叩かれた。

私は不思議に思いながらドアに向かい、開いた。

「はじめまして」

そこにいたのは姿をフードで隠した小さな人だった。

「え?あ。はい、はじめまして」

私は驚きながらもそう返した。

「貴方達が黒と灰の旅人さんですか?」

私とトワを見て首を軽く傾げながらそう言った少年に私はそうなのだろうな、と思いながら頷いた。

ちなみにトワは先程の本を見ていた。

「よかった…すいません、私の願い叶えてもらえますか?」

その子はホッとした様に言えばおずおずと聞いてきた。

「え…?あ…はい。」

よくわからず頷いた私を見れば人はフードを外した。
「はじめまして。僕は青です。」

短い金髪と青い瞳が目に入った。

「僕の世界の歪みを直して下さい!」

「え。」

歪み?と首を傾げれば、彼は頷いた。

「知らない人物が僕の世界に紛れこんで僕の主人公がおかしい事になってしまったんです。」

つまり、それは

「その知らない人物を倒せばいいの?」

「はい!!僕の世界の登場人物に気がつかれない様にお願いします」

なんか作家みたいな発言だな…と思いながら頷いた。
「ありがとうございます!
では今設定書と僕の世界にドアを繋げますね!」

「あ、はい…」

すると数秒たったらその子の手には紙が現れた。

「これが設定書です!じゃあ、僕は世界を繋げますので」

と言えばその子はドアを開け、出ていった。

私は設定書を持ちトワの方に行く。

トワは本を読むのを止め、本を閉じた。

「元の世界に行くためには百くらいの願いを叶えないと駄目らしい。」

と、私を見ながらトワは言った。

私はため息をはく。

これから私達の物語は始まるのだ。






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