B1
□-人形-
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ボンゴレファミリーの10代目になって、もう何年経つだろう。
ボス専用のこの柔らかな椅子に、随分と長く座っている気がする。
ふと、壁にかかっている写真を見た。
ファミリー全員と、俺と、ハル、そして
―――・・・京子。
何年前の写真か・・・。
恐らくまだ10代目になりたてホヤホヤの、初々しい写真だと思う。
京子。
栗色の長い髪を風に揺らしながら微笑む。
「ツっ君・・・―――。」
そう俺を呼ぶ。
もういい加減俺はボスなんだから、そんな幼稚な呼び方はやめてよ。
そう言った俺を、彼女はまたからかって笑うのだ。
鈴のように澄んだ声で、笑うのだ。
忘れもしない、あの日の惨劇が
また俺を呼び覚まそうとしていた。