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□守ってあげるから。
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月が見えた。
真夜中0時、嫌な寒気がして目が覚めた。
窓から空を見上げると、白い月が丸く浮かんでいるのが見えた。

「(今夜は満月か・・・)」

月と言えば、"ウサギが餅をついている"なんてよく言うが、実際良く見ると微妙な模様だけで、ウサギの面影などこれっぽっちも無い。(気がする。)

「(・・・ウサギ。)」

あの馬鹿ウサギは結局今日中に戻ってくることは無かった。(今日・・・というか、昨日?になるのだろうか。)
恐らく今日はもう帰ってこないつもりだったのだろう。
アクマ退治で疲れ果てた奴は今頃きっと、どこか宿屋のベッドでぐーすか腹を出して寝ているに違いない。

・・・もしかしたら、まだ起きているかもしれない。
そしてこの満月を見ているかもしれない。

「(まぁ、あいつの今回の任務地は聞いていないからあいつの所では今は朝か、昼かもしれないけどな。)」

そんな事を考えながら、再び満月に意識を戻した。

「あ・・・。」

思わず声をこぼした。
いや、声を出すほど大した事じゃないのだが。

白い満月に、黒く翳った雲が重なりかけていた。
雨でも降るのだろうか。
雨雲に似たそれは、どんどん月を隠して行く。
月光が消えてしまう。
見えなくなってしまう。
月の歪なウサギが、


ラビが・・・―――。


「(・・・ラビ?)」

どうしてそこであれが出てくる。
ウサギ繋がりか?
月の模様はウサギにも見えないのに?
そんな事より、自分の意識の中に他人が介入してきたのが若干不満で、驚きだった。

「(・・・冷えてきたな・・・)」

冷えてきたのは周りの温度じゃなくて、自分なのだと思う。
手足は冷たい。
ぞくりとした嫌な寒気が、背筋を滑った。
まるで何かの予兆のような・・・―――。

「(予兆・・・?)」

また頭の中で疑問が浮かんだ。
一体何の予兆なのだ。
そもそも何故わざわざ予兆なのだ。
・・・時々自分が分からなくなる。

「(・・・くだらねぇ。)」

そう一蹴し、再びベッドに横になり、毛布をかぶった。
今度はちゃんと寝よう。
朝までしっかり眠らなければ任務に差し支える。
それは困る。
だから背筋を滑る寒気も無視して、無理矢理目を閉じた・・・―――。
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