魂と共に

□二章
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 講義が全て終わると、帝は和仁(かずひと)と遊びに行く。


それが日常だからだ。



 しかしそこに、邪魔が入った。


オズだ。




 「……帝、すまない…」


すまない、と何度も謝罪をし、オズは苦渋の滲む顔を二人に向けた。



 何かを考え、悩み、全てを計算し、そして出た結論を持ってきているのだろう。



 晴天に合わない重い空気を背負い、帝の車の前にいた。



 帝はそれだけで、自分のこれからの予定をたてることができた。


だから帝は何も言わなかった。



 そして和仁も、自分は何も言わない方がいいのだろうと、沈黙を崩さない。



 頭のよい彼は、この沈黙の中でも幾つかの答えを見つけつつあった。


それが幸か不幸かは、誰にも分からない。




 「…いつ、だ?」


いつ、そうなるんだ、と帝はオズに尋ねた。



 和仁の存在を忘れたような雰囲気が、帝とオズの間には流れていた。


その流れに逆らわず、和仁は空気に溶け込む。



 「明日、空が彩られる頃」


オズは風に押されるように、そう言った。



 「夜が、明ける時、…か」



 近いんだな。


もう少し早く言ってほしかった。


和仁がいるのに、そんなこと言うなよ。



 色々な文句が頭をよぎるが、言葉に出たのは、旅立ちの時だけ。



 いつも笑顔を絶やさない顔に、明るさはどこにも見当たらなかった。



 「……すまない…」


オズもまた、微笑みを消したままだ。
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