魂と共に
□二章
1ページ/4ページ
講義が全て終わると、帝は和仁(かずひと)と遊びに行く。
それが日常だからだ。
しかしそこに、邪魔が入った。
オズだ。
「……帝、すまない…」
すまない、と何度も謝罪をし、オズは苦渋の滲む顔を二人に向けた。
何かを考え、悩み、全てを計算し、そして出た結論を持ってきているのだろう。
晴天に合わない重い空気を背負い、帝の車の前にいた。
帝はそれだけで、自分のこれからの予定をたてることができた。
だから帝は何も言わなかった。
そして和仁も、自分は何も言わない方がいいのだろうと、沈黙を崩さない。
頭のよい彼は、この沈黙の中でも幾つかの答えを見つけつつあった。
それが幸か不幸かは、誰にも分からない。
「…いつ、だ?」
いつ、そうなるんだ、と帝はオズに尋ねた。
和仁の存在を忘れたような雰囲気が、帝とオズの間には流れていた。
その流れに逆らわず、和仁は空気に溶け込む。
「明日、空が彩られる頃」
オズは風に押されるように、そう言った。
「夜が、明ける時、…か」
近いんだな。
もう少し早く言ってほしかった。
和仁がいるのに、そんなこと言うなよ。
色々な文句が頭をよぎるが、言葉に出たのは、旅立ちの時だけ。
いつも笑顔を絶やさない顔に、明るさはどこにも見当たらなかった。
「……すまない…」
オズもまた、微笑みを消したままだ。