魂と共に
□二章
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「「和仁、後悔するなよ」」
明るい太陽の笑顔と、柔らかな月の微笑みが重なった。
「おうよっ」
― 手を差し出してよかったのか、手を取ってよかったのか、答えはどこにもない。
ただ、悔やむ事はないように、そして、失う事はないように、三人はそれだけを願った。
* * *
帝、和仁、オズは、帝の家に集まることにした。
時間はない。
しかし、知らなければならないことは、山のようにある。
帝の両親や妹への挨拶もそこそこに、三人は彼女の部屋にこもった。
「第一に、帰ってこられない。第二に、命の保証はない」
これが一番重要なことだ、とオズは言う。
たしかにそうだ。
強制的に行く事になった帝はともかく、選ぶ権利のある和仁は、まだ引き返すことができる。
だが視線を向けられた和仁は、それがどうかしたのか、と首を傾げた。
「今更意志を覆すわけないだろ」
早く次の説明をはじめてくれ。
その言葉に完全に腹を括った帝とオズ。
そして、オズの早口な説明が始まって、終わった。
その頃には完全に日は沈み、タイムリミットまで五時間となっていた。
「え……っと…」
六時間近く続いた長すぎる説明を、理解しきれない帝と、その隣でなんとか理解しきった和仁。
さすが、順応能力は一般の比じゃない。
横でなるほど、という顔をしている和仁を見て、帝はそう思った。
「そのことを最低限頭に入れておけばいいんだな?」
和仁は真剣な面持ちで、オズに尋ねる。
帝の中途半端な尊敬の眼差しには気付いていないようだ。
「あぁ、そうだよ」
伝わってよかった、とオズも思う。
あまり期待はしていなかったが、分かってくれたなら、それにこしたことはない。
説明した本人がそう思うほどに、捲くし立てて説明したのだ。