主。
□第六章
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「うん、そろそろそんな時期だね」
「そうですね」
「じゃあ、僕らのことをもう少し説明する必要があるってことだね」
「そうですね」
「…ふふ、どこまで話したっけ?僕がアンドロイドなところまでだったっけ?」
「…いえ、まだそこまで聞いてないですけど」
「え?そうだっけ…?じゃあどこまでだったっけ?」
「造られた、しか聞いてません」
「うっはー、そりゃあ随分前の段階だねぇ、そんなに話してなかったかぁ」
「そうですね」
「うーん…最近記憶(メモリー)がごっちゃになっててね…困ったもんだよ」
「…それはいけませんね」
「そーなんだよね。どの記憶も忘れたくないけど…せめて、せめて最近の記憶はとっておきたいなぁ」
「そうですか」
「あぁ、うん。そう、それで造られた存在かぁ。ちょっとカッコつけちゃったのが恥ずかしいね。若気の至りかな?」
「僕よりも年寄りのくせに若気ですか」
「年寄りって…年上って言ってよ、せめてさ」
「五月蝿いですね、さっさと話してくださいよ」
「年上に容赦ないよね、乱くん…まあそこがいい所だけどね」
「なんか言いましたか?」
「なんでもない…。うん、柩暁死裂博士って知ってるよね?」
「百年前くらいの花嵐の長でしょう?」
「うん。それに造られたの」
「そうですか」
「…あんまり驚かないね」
「驚いてほしかったんですか?」
「いや、驚くかなーと思っただけ。別に、乱くんのことだし、見事なノーリアクションとってくれたよね」
「で?その柩暁死裂博士が何ですか?」
「うん。僕と、サツキとウツシをまず三体造ったの。自分の護衛用にね。その時にはただの人型のロボットで、意思とか無くて、ただのまあ普通に回線で通信でどーのこーのだったわけ」
「はぁ」
「で、そのあとにちょっとお茶目心が働いたらしくて、人格を作ろうってことになったんだってさ」
「…そうですか」
「うん。それで僕らの完成。で、僕らみんな能力は同じだったから、参謀役でセンヤ造って、暗殺役でアヤメ造ったわけだよ」
「へえ、役があるんですか」
「うん、今とはちょっと違うけどね。アヤメのコミュニケーション能力はその時に死裂博士が本来そこに使うべき回路を『殺す』って能力に組み替えたから、あんな無愛想な子になっちゃった訳だね、でも十分かわいいから許すけどね!!」
「ナルシズムですよ、それ」
「顔は似てるけど、一緒じゃないし。性格全然違うし。ナルシじゃないよ」
「…まあ、そういうことにしときましょう」