踏み出す世界は


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サンヨウシティとシッポウシティを繋ぐ、3番道路。
保育園の園児たちに勝負を挑まれて、勝っちゃうのも大人気ないかなーなんて思って手加減したら逆に泣かれた。だからといって本気で勝負したらしたで保育士さんに怒られた。どうしろっていうのさ。
育て屋さんというのもあったけれど、多分、お世話になる機会はないだろう。自分で育てきれないポケモンは、持つことはないだろうから。
適当に見つけた草むらに潜って、図鑑を埋めるために捕獲に勤しむことにした。捕まえたのはでんきタイプのシママにひこうタイプのマメパト。いつものように、データが確認できたらすぐに逃がした。可愛かったなぁ…。
たしかこの先に洞窟があるんだよね。そこにも行ってみようかなーなんて考えていると、街の方から誰かが歩いてくるのが見えた。言わずもがな知り合いだ。そしてカノコ以外にいる知り合いなんて、数える程しかいない。

「チェレン!」
「…あれ、トウヤ。何してるの」
「図鑑のデータ集め。チェレンはどうしたの?」
「ぼく?トライバッチをゲットしたからね。次の街に行こうと思って」
「チェレンもバッチ貰えたんだ!」

やっぱりすごいなぁチェレンは。
あのジム、最初戸惑わなかった?と聞けば事前に調べてたからと言われた。…それは俺が無計画だと言いたいんですかチェレンさん。
ちょっと凹んでいる俺を無視して、チェレンはふむと顎に手を当てて考え込んだ。そしてニッコリと笑って、モンスタボールを一個取り出した。
あ、嫌な予感。

「ねぇトウヤ。トライバッチを持つもの同士、どちらが強いか確かめるよ!」
「あまりにも唐突すぎない!?」

いやでも、挑まれたなら答えるけどさ!

「行くよ、チョロネコ!」
「こっちはヒーヤだ!頼んだよ!!」

二人同時にポケモンを繰り出して、すぐに指示を出し合う。

「したでなめる!」
「この間と同じ?二度は受けないよ、ひっかく!」
「避けて!」

さすが、チョロネコは素早い。あの素早さについていけるのは、俺の手持ちだとロージャぐらいかな。
そんなことを考えたのもほんの一瞬。すぐに思考は今のバトルのことに切り替わる。

「着地を狙ってみずでっぽう!」

俺の指示を聞いたヒーヤが、その通りに行動してチョロネコに水流をぶつけた。これで相手は戦闘不能。チェレンが交代のために次のボールに手をかけた。こちらも交代の準備。さすがに2戦連続はキツいから。

「さすが、いい戦い方をするね!」
「チェレンもすごいな!この間より、確実に強くなってるよ!」
「当然さ!ぼくの知識があればポケモンの強さを引き出せる!」
「頭がいいって得だな!」

こんなことならもうちょっと真面目に勉強すればよかった!
と、考えた時だった。

「どけどけどけー!」

どっかで見覚えのある服の男が、俺とチェレンの間を駆け抜けていったのは。
それを追いかけるようにして、ベルも走ってきた。
一体なんなの。
…なんでその女の子、泣いてるの。

【踏み出す世界は】

トウヤ 現在の手持ち
ロージャ/ツタージャ ♂ まじめ 見栄っ張り
ヒーヤ/ヒヤップ ♂ おだやか 体が丈夫
ムーナ/ムンナ ♂ のうてんき のんびりするのが好き

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