踏み出す世界は


□06
1ページ/4ページ


その日の夜、夢を見た。
マコモさんに、頼まれていたゆめのけむりを見つけられなかったことと、そこで起こったことを説明して謝った。そんなことがあったのなら仕方がないとマコモさんは言ってくれたけど、あれってなんか俺が暴走しちゃったせいだし…明日もまた、夢の跡地に行って探すつもりだ。
そのために今日はもう休むと言ったら、マコモさんが部屋を使っていいと言ってくれたのでその言葉に甘えた。傍らに三つのモンスターボールを並べて、俺もベッドに潜り込んで目を瞑った。
そんなに疲れていたつもりはないのに、案外あっさりと眠ることができた。
そして、夢を見た。
最初に聞こえたのは、小さな鳴き声。ああ、これはムンナの声だ。草むらの中、傷だらけのムンナが鳴いている。誰かを呼ぶように、小さくても必死に鳴いている。ここにいるよ、ここにいるよと、誰かに訴えるように。
そこに、一人の人間がやってきた。そっと傷だらけのムンナを抱き上げて、優しげな手つきでなでている。ムンナはその手に擦り寄って、先程までとは違う、安堵しきった声を上げた。
ムンナを抱えたまま、その少年は歩き出す。その足元には、ツタージャにヒヤップ、それに頭に火を灯したロウソクのようなポケモンと雷を纏った四足歩行のポケモンもいる。先導するように、一羽の鳥ポケモンが、少年の頭上を飛んだ。
少年はそのポケモンたちみんなに微笑んで、最後にこちらを向いた。
その少年は…。

「…?」

胸の苦しさで目が覚めた。
見ると、布団の上にムンナが乗っていた。ちょうど俺の胸の上。
…ムンナって意外と重いんだな。
結局、このムンナは俺について来てしまった。
ポケセンで治療してもらって逃がそうとも思ったけど、なぜか俺から離れない。
随分懐かれてますね、なんてジョーイさんにも言われちゃって…こいつがそれでいいならいいかと、手持ちに加えることにした。エスパータイプって希少だし。ムンナ可愛いし。可愛いし。
布団の上で丸くなって寝てるのとか超可愛い。現在進行形で。重いけど。
……そう言えば。

「あれ?…なんの夢を見てたんだっけ…?」

思い出せないや。夢を見るなんて久しぶりだったからかもしれないけど…。
ふと胸の上のムンナを見ると、額から何やらピンクの煙を吐き出していた。なにこれ。

【踏み出す世界は】

トウヤ 現在の手持ち
ロージャ/ツタージャ ♂ まじめ 見栄っ張り
ヒーヤ/ヒヤップ ♂ おだやか 体が丈夫
ムーナ/ムンナ ♂ のうてんき のんびりするのが好き

*
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ