剣は誰が為に
□ある日の夢の話
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「……という夢を見たのにゃ」
顔を近付けて言えば、
「…………で?」
不機嫌極まりない彼の返事が返ってきた。
…………いや、覚悟していたけれども。
「もうちょっと気のきいた返事をしろにゃ!鬼威君の馬鹿!」
「今の話の何処に興味を持てっていうんだよ。あと馬鹿言うな馬鹿猫」
デザイン系の専門学校、その食堂で私は隣に座る、高校時代からの知人である鬼威君と共に食事を摂っていた。
鬼威君は目の色も髪の色も淡い茶色で、来ている服もほとんどが茶色系。それだけ言うとスゴく地味なのに、彼には独特の存在感がある、…と、思う。
一方の私は銀色の長い髪という日本人にしてはあり得ない髪色。
性格も相まってか、白猫みたいだとよく言われる。
もっとも、その例えを一番最初に言ったのは鬼威君だったが。
「で、巫」
鬼威君が私の名前を呼んだ。
ビシッと箸で私を指して、面倒臭そうな顔をした。
行儀悪いよと注意すると、すんなりと箸を下ろす。
「お前は俺にどんなリアクションを求めてんだ?」
「んー、とりあえず何かしらの反応が欲しかったかにゃ」
「じゃあノーリアクションというリアクションをとってやる」
「それはただの放置プレイにゃ!」
本格的に無視を決め込む気らしく、鬼威君は自前のお弁当を無言で食べだす。所謂、弁当男子。
…羨ましくなんかないやい。
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