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□ベビースターブルー
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「なんか腹立つんだよなあ」
「はあ?知らないわよ」
リョウは煙草を吸い続けてる。
今日も大した仕事はなくて、リョウはいつも通り昼まで寝てて、どうせナンパでもしに行くんだろうと思ってたのに。
(1日中家にいるなんて、珍しい)
摩天楼にリョウの背中がシルエットで映えた。
「香ちゃん」
「なにって、え、離れろ変態!」
「んー、やだね」
リョウが知らない間にわたしの前にいて、知らない間に覆い被さっていた。
なにこれ、調子狂っちゃうじゃない。
「ねむたいの?」
「なに、香ちゃん俺と一緒に寝たいの?」
「ばっ、ばかなこと言うな!万年もっこり野郎!」
ハンマーを降り下ろしたけど、リョウはいなかった。
背後に気配を感じたときには遅かった。
ひょいっと持ち上げられてバスルームへ。
いくら抵抗しても、リョウ相手じゃかなわない。
「なんでこんなにかわいいと思っちまうんだろうな」
泡風呂で遊んでるときに何気なく言った独り言がリョウの腹が立ってる理由だと分かって、わざと聞こえないふりをした。