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□愛に埋もれて窒息死
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朝日が眩しい。机の上の時計を見る。午前6時。もうこんな時間か。顔を洗ってこよう、いや、まずコーヒーを一杯。
「ん……」
声が聞こえた。後ろを振り返ると彼女が目をこすりながら体を起こしているところだった。
「おはよう」
僕は彼女が寝ていたソファに近付いた。彼女の横に座ってみる。まだ温かい。
「え、あ、お、おはようございます…」
「ぐっすり寝ていたな」
「う、すみません…」
「論文もないのに研究室で一夜を過ごすなんて久しぶりだ。しかも内海君と、なんて」
「はいはいすいませんね私で!」
「まだ何も言っていないだろう。そうやって何でも決め付けるのは君の悪い癖だ」
「うわー朝から説教とか目覚め最悪。あ、またどす黒い感情が…!」
「勝手に言ってろ」
コーヒーを作りに戻ろうとすると、白衣を引っ張られた。これでは前に進めない。
「…なにか用でも?」
沈黙?いや、彼女は何か言った。しかし俯いて小さな声で話すせいで聞き取れない。
「すまない、もう一度言ってくれないか」
「……………」
「ん?」
「もう少し、ここにいてください」
胸が痛くなった。息がしにくくなった。この気持ちが何なのか分からない。ただ、一瞬、一瞬だけ、愛について考えようかと思った。